不動産バブル崩壊で中国経済はまだまだ低迷続くのに、EV産業などは台頭!世界は警戒し、トランプ関税も重なり、誰も得しない未来が到来へ

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中国にある建設が途中でとまっているマンションと完成したマンション
不動産バブルが崩壊して経済の停滞が続く中国社会は雰囲気も悪くなっている(写真:Qilai Shen/The New York Times)
不動産バブルが崩壊し、景気低迷が長期化する中国。社会では閉塞感も広がり、2024年には無差別殺傷事件が相次いだ。
一方で電気自動車(EV)やリチウムイオン電池など中国が圧倒的シェアを誇る産業は成長が続く。日米欧の製造業に脅威となっている面も出ており、米中対立の要因ともなっている。
中国経済は衰退するのか。それとも強い産業が牽引し、成長し続けるのか。そして日本をはじめ世界経済にどのように影響を及ぼすのか。『ピークアウトする中国』で現地取材と経済学の視点から今の中国経済を解き明かした梶谷懐・神戸大学教授とジャーナリストの高口康太・千葉大学客員教授に、中国経済の現状や行方を聞いた。

歴史の「ゴミ時間」が始まると語る中国人

——不動産バブルの崩壊で中国経済の停滞が続いていますが、現地社会の状況はいかがでしょうか。

高口:街中をただ歩いているだけでは不動産が悪くなっているかはわからない。大恐慌というわけでもない。ただ、現地の人々と話しているとマインドが大きく変わったことを実感できる。

日本経済が失われた30年で停滞している間、中国の友人と会話していると「今年は給料が2割しか上がらなかったよ」や「何に投資したら儲かるかな」など日本と雰囲気がまったく違っていた。今日より明日、明日より明後日がよくなるという感覚があり、成長や収入増の期待から高い買い物やローンを組んでも大丈夫と誰もが思っていた。

ところが、今ではどんな投資も「危ないからしたくない」と言い、高級店で飲むシャンパンの本数を減らすなど消費不況が訪れている。2010年代には日本の質屋で中古ラグジュアリーを買って中国で売る動きがあったが、今では中国で価格が下落していることから、日本に持ってきて売るという逆の動きが出ている。

過去30年ほど続いた不動産価格の上昇によって、大都市の不動産さえ買えればひたすら豊かになれるという「チャイニーズドリーム」があったと私は指摘してきたが、それが崩れてきた。ある中国人はこれまでの中国は歴史のボーナスタイムだったが、これから「ゴミ時間」が始まると自虐的に話していた。

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