不動産バブル崩壊で中国経済はまだまだ低迷続くのに、EV産業などは台頭!世界は警戒し、トランプ関税も重なり、誰も得しない未来が到来へ
——そもそも不動産バブルはなぜ続いて、それが今になって崩壊してしまったのでしょうか。
梶谷:短期的には2021年に不動産価格が下がり始め、2023年に持ち直しの動きが一時あったものの、再び下がり始めた。この要因は建設が停止していたマンションを行政が住宅政策と称して、最後まで完成させようとして供給が増えてしまったことにある。
高口:中国では不動産が値上がりし続けると思われたので、農村の真ん中など不便な陸の孤島に建てられた高層マンションも購入するケースが相次いだ。ただ、不便な場所に実際に住む人はマンション購入者の1~2割で、あとは投資で購入しただけだ。デベロッパーが資金難に陥って建設が止まってしまい、実際に住みたい1~2割の人たちが抗議して、当局が完成させようとしたのだ。
梶谷:在庫が余っているときに、そのような幽霊マンションが建つと需給バランスは崩れてしまう。以上が短期的な背景だ。
「合理的バブル」がじわじわ上がった不動産
一方、中長期的な問題としては「合理的なバブル」の発生がある。バブルというと、株価が短期間で3倍に上がっては急落するなど熱狂して投機的なものが典型的だ。だが、中国の不動産市場で起きたのは、これらと根本的に異なる現象だといえる。
人々が不動産を買い求めたのは上がり続けるだろうと思ったからだ。この予想は実は根拠がなく、人々が上がると思っているから上がり続けただけ。その点ではバブルと同じだが、不動産を購入した大多数は、子どものためやいずれ住むからと値上がり前に買うような人たちとみられていた。実需に基づいていて、熱狂的なものではないと多くの専門家も考えていた。
実際、不動産価格の上昇は経済成長率とほぼ同様に直線的に上がり、二次関数的な曲線を描く急激なものではない。長期間にわたり資産価格に一定の上昇が続く「合理的バブル」が起きていたといえる。
——合理的バブルの発生は中国経済にどう影響し、バブルがはじけた今、どのような対処が必要でしょうか。
梶谷:そもそも「合理的バブル」が生じやすいのは投資が飽和状態で、資本が過剰に蓄積されたために金利が成長率を下回る状況のときだ。中国では企業間競争の激化で付加価値の労働者への還元率を表す労働分配率が低下し続ける傾向や企業の内部留保増加、家計部門の貯蓄率増加などで資本の過剰蓄積が生じた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら