まさかのスタバ超え「激安ドリンク店」の驚く勢い。中国では競争激化、日本に進出する店も
昨年以降、お茶ドリンク業界は上場ラッシュに沸いている。2021年に「奈雪的茶」が香港証券取引所に業界で初めて上場して以降間が空いていたが、昨年4月に業界3位で四川省成都に本社を置く「茶百道(ChaPanda)」、今年2月には2位で浙江省杭州市発祥の「古茗」の運営会社がそれぞれ香港証券取引所に上場した。
さらに上海発の「沪上阿姨(AUNTEA JENNY)」が上場承認待ちで、3月6日には中国当局が雲南省発祥の「覇王茶姫(CHAGEE)」のアメリカ上場を承認したと発表した。

ただ、業界の先行きは決して明るいわけではない。むしろ市場の成長鈍化と競争激化に直面し、各社とも資金調達を急いでいる面がある。
どの都市に行っても繁華街や商業施設はお茶ドリンクやコーヒー、フルーツジュースのスタンド、カフェだらけだ。

2010年代後半には大学生の間で「ミルクティー起業」がブーム化するほど参入がたやすく、メニューで差別化を図ってもヒットすればあっという間に真似される。競合との違いを出すのが難しく、さらに景気低迷で消費者の財布のひもが固くなり、商品単価はじわじわと落ちている。
奈雪的茶は2010年代後半にドリンク1杯の価格が30元(約600円)前後でスターバックスと同水準だったが、2022年に全商品を値下げした。筆者も注文できるブランドはすべて試してみたが、圧倒的に安い蜜雪氷城以外は主力商品が20元(約400円)前後でほとんど差がない。
蜜雪氷城、茶百道、古茗は店舗のほとんどがフランチャイジーで、加盟料とロイヤリティ、フランチャイジーへの原材料や設備の販売が主な収益源になっている。だからどの企業も出店拡大による成長を目指すしかなく、そのための資金需要が高まっている。
日本にも続々進出
中国での競争激化を背景に、各社が近年力を入れるのが海外進出だ。
高価格、おしゃれなイメージがある喜茶はアメリカに約20店舗を出店し、今年2月、日本1号店として大阪に出店した。

東南アジアを中心に出店する茶百道は2月、欧州初の店舗をスペイン・バルセロナにオープンした。
業界最大店の蜜雪氷城は11カ国に約4800店舗を展開する。都内にも2023年に店舗をオープンし、目論見書によると日本で5店を営業しているが、最も多いのはインドネシア2667店、ベトナム1304店(いずれも2024年9月末時点)だ。中国で激安価格を売りにする同社は、より所得が低い東南アジアでも受け入れられやすい。

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