まさかのスタバ超え「激安ドリンク店」の驚く勢い。中国では競争激化、日本に進出する店も

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消費者にとってはブランドの選択肢が増え、価格も下がっていいこと尽くめだが、業界の成長の伸びしろは徐々に狭まり、コーヒー業界やフルーツジュース業界との競争もある。最初に上場した奈雪的茶は公開価格19.8香港ドルに対し、現在の株価は1.3香港ドル前後で、10分の1以下に下落した。コロナ禍の時期に日本に出店したがすぐに撤退し、日本語のホームページだけが残されている。

茶百道も上場初日に株価が30%近く値下がりし、その後も振るわない。

地方都市に強い古茗は発行価格より現在の株価のほうが高くなっているが、勝ち組と言えるのは、平均客単価が11元(約220円)台と他社の半分ほどなのに、原材料の自社生産体制や物流の構築で利益を得られる体制をつくりあげた蜜雪氷城だけだ。

スタバは中国事業売却?

経済の上げ上げムードの中で勃興し、競争激化と経済の減速で節目を迎える中、これまでの拡大戦略を見直す動きもある。

喜茶は2月、「価格や売り上げ、店舗数をむやみに競い合うのは、顧客の信頼を損なうことになる」としてフランチャイジーの募集を停止する方針を明らかにした。

コーヒーチェーンも他人事でない。Luckin Coffeeと、同社を追放された経営陣が対抗して立ち上げたCotti Coffeeが猛烈な戦いを繰り広げ、6~7年前は25~35元(約500~700円)が当たり前だったラテの価格も10元(約200円)を切るようになった。

ラッキンコーヒーで頼んだアメリカンコーヒー(写真:編集部撮影)

昨年11月にはスターバックスが中国事業の持ち分売却を検討していると報道され、買い手を巡ってさまざまな臆測が流れている。

スターバックスは1999年に中国に進出し、同国のコーヒー文化を醸成した業界の大功労者だ。Luckin Coffeeなど地元振興ブランドの攻勢を受けながらも、2025年に中国で9000店舗を出店する目標を掲げていたが、値下げ競争に巻き込まれ利益が圧迫されたら本末転倒になってしまう。

これまで通り激しい競争の中で成長を目指すのか。独自の生き残り策を模索するのか、中国経済の潮目が変わる中で企業も岐路に立っている。

浦上 早苗 経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員(コミュニケーションマネジメント)

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うらがみ さなえ / Sanae Uragami

福岡市出身、早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で教員。現在は経済分野を中心に執筆編集、海外企業の日本進出における情報発信の助言を手掛ける。近著に『崖っぷち母子 仕事と子育てに詰んで中国へ飛ぶ』(大和書房)『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
X: https://twitter.com/sanadi37
公式サイト: https://uragami-sanae.jimdosite.com/

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