この時は10日間入院して輸血や抗生剤の投与などを行い、6日目あたりからようやく体力が回復し、抗がん剤投与を再開することになった。そこで選ばれたのが第1弾で顕著な効果をもたらしたゲムシタビンとカルボプラチンの併用だった。結果的にこの作戦が大正解だった。

昨年の投与時には、投与後3日目から4日目にかけ、37度から38度の高熱が出たのだが、今回は熱が出るような事態は一切なかった。食欲も普通にあり、脱毛も落ち着いた。本当に副作用らしい症状がまったく現れなかった。そして3月のCT撮影で、腫瘍が大幅に縮小したのである。
重要だった血液検査の結果

昨年春に膀胱がんが発覚して以降、さまざまな症状を体験しながら季節がめぐり、再びおだやかな春を迎えようとしている。「余命1年」は3月13日で無事にクリアした。ここからは新たな「がんとの共存・延命」に向けた第2ステップの始まりである。
さて、ここまで1年間の闘病生活を連載の形で振り返ってきたが、抗がん剤治療と並んで重要だったのは、通院、入院のたびに繰り返し行ってきた血液検査である。少ないときは注射2本分、多いときは7本分を採血。血液に含まれている細胞や酵素、抗体などの数を精査、数値化して体内のさまざまな器官の異常をチェックしてきた。
昨年3月13日の初回と、今年3月7日の最新の主要なデータを比較してみよう。単位名称は省略。各項目の説明は日本予防医学協会のサイトなどを参考にした。
【ヘモグロビン】5.4→8.7(下限値13.7/上限値16.8)
※ 赤血球の中に含まれる酸素などを運ぶ成分で、低下すると貧血症状が生じる。
【赤血球】276→334(下限値435/上限値555)
※ 身体に酸素を運ぶ血球成分。少ない場合は貧血を、多い場合は多血症を疑う。
【白血球】5.4→4.6(下限値3.3/上限値8.6)
※ 生体を細菌やウイルスから守る役割がある。数値が低くなると病原体に対する抵抗力が下がり感染しやすくなる。
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