相手に合わせるのでも自分に合わせてもらうのでもなく、最初から好きなものや行動範囲が似ている人がいい、と慎吾さんは思った。そして、マッチングアプリを使って相手を探した。キーワードは、スノーボード・お酒・横浜の3点だ。加奈さんはまさにど真ん中。お互いの家が徒歩5分圏内にあり、同じバーに通っていることが判明した。加奈さんも慎吾さんの第一印象を嬉しそうに振り返る。
「ちょっとホストっぽい雰囲気だったので警戒していました。でも、話し方がかわいいなと思ったんです。かわいいという感情を男性に対して持ったのは初めてでした」
慎吾さんのほうも加奈さんに「おとなしめで、ケバケバしくない。話していて楽」と好意を持った。そして、2日後に再会。婚活慣れしている加奈さんは期待して傷つかずに済むように「私とのことをどう考えているの?」と慎吾さんに確認。慎吾さんは「彼氏になりたいと思っているよ」と答えた。
結婚相手の条件は1点だけ
「彼女に気持ちをはっきり伝えないといけないと思いました。また後悔したくありませんから。年齢差とかはまったく気にしていませんでした。少なくともメイン(の条件)ではありません。気が合って、ずっと一緒にいられること。その1点だけで(結婚相手を)決めようと思っていました」
前の恋人と12年間も付き合った末に別れてしまった悲しい経験が糧となったのだ。その決意は、子宮筋腫を患っていると加奈さんに明かされても揺るがなかった。むしろ、結婚して加奈さんのほうの姓になろうと決めた。
「加奈さんにはお兄さんもいますが、独身です。僕には兄と弟がいて、兄は結婚していて子どもがいて、10歳年下の弟も今年結婚しました。うちの家族は賑やかなので心配ありません。加奈さんの家族になり、お兄さんとも仲良くして、お墓の世話もやろうと思いました」
加奈さんは母親と一緒に住むために3LDKのマンションを30歳のときに購入した。母親は10年前に他界してしまったが、今は慎吾さんと1歳の愛犬との新婚生活を過ごしている。
加奈さんと出会った頃は、小さな会社に勤めていて「かなりブラックな働き方のIT」だったという慎吾さん。業界の先輩でもある加奈さんは「技術力があるのにその待遇ではもったいない」と転職を後押しして現在に至る。加奈さんは結果として、「頼りがいのある、大企業正社員男性の妻」の座を勝ち取ったのだ。ただし、最近は夫婦喧嘩が絶えないらしい。
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