「iDeCo」制度改正に潜む"国民負担増"の皮算用 今に始まったことではない「国の姑息な手口」

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知らぬ間に「ボーナスの手取り」も減少しているという(写真:bee/PIXTA)
手厚い社会保障や公的年金が整備されていることもあって、日本人の多くは、「いざとなれば国が守ってくれる」と思い込みがちですが、そうした幻想は捨て去ったほうが賢明だと、なかのアセットマネジメント社長の中野晴啓氏は指摘します。
私たちの暮らしを守ってくれるどころか、詭弁を弄しながら、あの手この手で国民負担の引き上げを画策してくる国の「姑息な手口」について、中野氏の著書『ほったらかし投資はやめなさい』から一部を抜粋・編集する形で解説します。

いざとなれば「国が守ってくれる」という日本人の幻想

「国民皆保険」という政策の下で公的年金や社会保険が整備されていることもあってか、とかく日本人の間では「国が守ってくれる」という意識が強い傾向がうかがえます。ここまで国家に全幅の信頼を寄せているのは、世界を見渡してみても非常にレアケースです。

確かに日本の社会保障は、受益者(保障を受ける側)にとって非常に手厚い制度になっています。その一方で、先進国の中でも突出したピッチで少子高齢化が進んでいるのは周知の事実で、手厚い保障になっているからこそ、制度を維持するための対策を進めなければならないのは明白でした。

ところが、抜本的な改革を先送りにし続けてきたうえ、既得権益者(すでに公的年金を受け取り始めているシニア層)の反発を恐れて、デフレが深刻化した1998年以降に大きな運営ミスを犯しました。2004年度の年金改革で「マクロ経済スライド」という制度が導入されたにもかかわらず、それを一度も実施しなかったのです。

簡単にいえば、同制度は将来にわたって年金財政を維持していくために、状況に応じて給付額を抑制するというものでした。保険料を負担する現役世代の減少や平均寿命の延び、経済情勢などを踏まえたうえで、妥当だとされる給付額を決定することになっていました。

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