「iDeCo」制度改正に潜む"国民負担増"の皮算用 今に始まったことではない「国の姑息な手口」
これがステルス増税だと揶揄される理由は、税率を1%引き下げたから「減税である」と国が詭弁を弄していることにあります。
その陰では、2027年から防衛増税(所得税率の1%引き上げ)が導入されるので、実質的に「復興特別所得税+所得税」の税率を合計した数値は据え置かれたままであり、単に徴収期間を12年間も延長しただけというのが真実なのです。
岸田政権の置き土産である「異次元の少子化対策」も、税金とは異なる形式で「国民負担」を増やす結果を招いています。児童手当の拡充をはじめとする様々な支援策が実施される計画ですが、それらの財源を確保するため、「子育て支援金制度」が新設されることも決定したからです。
この支援金は2026年度から徴収される予定で、社会保険の保険料に上乗せする方式によって、子どものいない世帯からも徴収されることになります。国民の反発を恐れたのか、増税ではなく「支援金」という名前での策は、むしろ世間で大きなひんしゅくを買っているようです。
知らぬ間に「ボーナスの手取り」も減少
こっそりと「国民負担」を増やしていくという国の手口は、今に始まったことではありません。
もはや額面と手取りにかなりの違いが生じることがすっかり当たり前になっているので、違和感を覚える人は少ないでしょうが、昔と比べるとボーナスの手取りも、密かに進められた「国民負担」の増加分だけ大きく減っています。
本来、社会保険は月収(標準報酬月額)に基づいて保険料が算出され、毎月の給与からその分が天引きされる仕組みになっていました。業績が大幅に悪化しない限り、毎年2回(夏・冬)の支給が常識的になっているものの、あくまで臨時の収入であるボーナスから保険料が徴収されることはなかったわけです。
ところが、2003年4月からの改正法施行で「総報酬制」が導入されたことによって、ボーナスを含めた年収の総額に応じた料率の社会保険料が徴収されるようになりました。
もう少し詳しく説明すると、「総報酬制」における社会保険料は「(毎月の給与+ボーナス)÷月数」という式で算出されます。ただ、実はボーナスからの社会保険料徴収はそれ以前からも行われていたものです。1995年4月~2003年3月の期間中は、ボーナスから「特別保険料」が徴収されていました。
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