東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #ウクライナ侵攻、危機の本質

ゼレンスキーを元気にさせたイギリス首相の手腕 欧州に共通した「プーチンは信用できない」

8分で読める
  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
2/5 PAGES
3/5 PAGES

しかし、結果的に鉱物資源の合同開発を進める交渉の主導権はトランプ政権側に奪われた揚げ句、今回のワシントンでのサミット決裂で合意文書の調印に至らなかった。

ゼレンスキーは停戦実現に向けた戦略で別の失望も味わった。トランプ政権は当初、停戦工作を進めるにあたって、ゼレンスキー政権と同じスローガンである「力による平和」を掲げていた。

これは、戦場でロシア軍を苦境に追い込むことで、停戦に応じさせる「力による平和」を目指しているゼレンスキー政権と同じスローガンだった。

トランプもゼレンスキーに期待していたが…

だからこそ、「選挙なしの独裁者」などとトランプにいわれなき暴言を浴びせられながらも反論は最小限に抑え、事を荒立てないようにして、トランプが最後はウクライナ側に寄り添うことを期待していた。

だが今回のトランプとの決裂を受け、ゼレンスキーはトランプがプーチンとの間でアメリカとロシア両国の権益を優先する大国外交を進めており、このままトランプ政権に頼っていては、ウクライナの立場はますます脇に追いやられるだけだと思い知ったのだ。

この展開に大きな危機感を抱いたのはゼレンスキーだけではなかった。スターマー首相とフランスのマクロン大統領も、だ。このままではウクライナが軍事的敗北に追い込まれ、次はヨーロッパがプーチンによる軍事的侵攻の標的になるとの焦燥感を深めた。

決裂からわずか2日後にスターマー首相はゼレンスキーを含めヨーロッパの主要国18カ国の首脳をロンドンに集めた緊急会合を開いた。この異例のスピード感に、その危機感の強さが反映されている。

この首脳会合での合意内容で最大の眼目は、停戦と和平締結に向けた計画を有志国がウクライナと協議のうえで合同の計画をまとめるということだ。つまり、ウクライナ支援に消極的なトランプ政権ではなく、有志国がウクライナの防衛と停戦・和平計画作成に深くコミットするということを意味する。

次ページが続きます

4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象