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政治・経済・投資 #ウクライナ侵攻、危機の本質

ゼレンスキーを元気にさせたイギリス首相の手腕 欧州に共通した「プーチンは信用できない」

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  • 吉田 成之 新聞通信調査会理事、共同通信ロシア・東欧ファイル編集長
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トランプからすれば、ロシアやウクライナとの安全保障策をめぐる合意達成に手間取れば、それだけ停戦の実現が遅れるという計算がある。プーチンとしても、自らの手足を縛るような調停案を提示されたら、停戦に応じないだろう。

だからトランプは、調停案の内容はなるべく簡素なものにすることで、時間のかかる議論は先送りし、戦闘行為の停止を先に実現する姿勢とみられている。

一方、ゼレンスキーにはプーチンに対して強い不信感がある。2014年のクリミア半島の一方的併合に続いて起きたウクライナ東部での親ロ派武装勢力による攻撃の際に、ウクライナは2度にわたり停戦合意をロシアとの間でまとめた。

ゼレンスキーがトランプに求めた安全保障の提供

しかし、強力な米欧の軍事的関与がなかったため、親ロ派勢力による再三の停戦合意違反の攻撃を止められなかった苦い経験がある。

結局、今回の訪米でゼレンスキーはアメリカから安全保障策の提供について約束を得られなかった。ロシアからの反発を回避するためトランプ政権が提供を拒んだのだ。

こうしたロシアに対する融和的外交を進めるアメリカの政権に対するゼレンスキーの強い不満は、陪席ながら「外交」で停戦調停を進めていくと言ったバンス副大統領の割り込み的発言に触発され、一気に爆発した。「どんな外交のことを言っているのか」。語気強く難詰した。

同時にゼレンスキーは、今回の決裂によってこれまでトランプ調停に期待を寄せていた自らの戦略は失敗だったという大きな挫折感を味わされた。ゼレンスキーとしては、決断力に欠けたバイデン前大統領と異なって、決断力のあるトランプがウクライナに有利な調停をしてくれることを期待していた。

それに向け、手は打っていた。2024年秋にまとめた「勝利計画」の中でも、ディール(取引)を好むトランプ氏の性格を念頭に鉱物資源開発での協力を盛り込み、ウクライナ側に引き寄せようとした。

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