
加えて「X-MODE(エックスモード)」が、ダッシュボード中央のモニター画面で呼び出せるようになっている。「ノーマル」「スノー/ダート」「ディープスノー/マッド」と3つのモードがあり、駆動力やブレーキの制御を適切に行い、安定性を保つ。
今回、どれほどの効きがあるか、実地で試すのを楽しみにしていたが、今回の試乗コースである青森から酸ヶ湯温泉までのドライブルートは、先述のとおり完璧に除雪されていた。
試乗会の少し前は、434cmもの積雪に見舞われ、たいへんな混乱が起きたと聞いていたものの、抜けるような青空の下、積雪路面を探すほうが困難なほどだった。
とはいえ、都市部に住む人にとっては、積雪路よりも乾燥路でどう走るかのほうが気になるところだろう。
スバルの技術者の意図するとおり、素直な操縦性と、よく動く足回りによる安定した乗り心地、そして静かでかつスムーズな加速性が、クロストレック S:HEVの持ち味だ。

ときとして「ちょっとふわふわしすぎかな」と思う場面もあったが、ヨコハマタイヤのアイスガードというスタッドレスタイヤのせいもあるかもしれない。もっとも、これでも決して悪いとは思わなかった。
クルマの世界を楽しくしてくれる
クロストレック S:HEVの燃費は、WLTCモードでリッター18.9km/L。マイルドハイブリッドモデルの16.4km/Lの上をいく。
THSⅡを搭載するトヨタのハイブリッド車として、「カローラ クロス」が引き合いに出されることもあるが、エンジン排気量や価格からすると、たとえば「ハリアー」のほうが適当かもしれない。

そのハリアーの燃費は、2.5リッター・ハイブリッドの4WD(E-Four)モデルで、21.6km/Lと、クロストレック S:HEVよりも有利。ただし、車体のパッケージの面では、クロストレック S:HEVのほうがよくできている。
ハリアーが全長4740mm/ホイールベース2690mmなのに対して、クロストレック S:HEVは全長4480mmと短いが、ホイールベースは2670mmもあるのだ。
それでいて価格は405万3500円と、ハリアーのハイブリッドE-Four(433万9000円~)を下回る。つけ加えておきたいのは、クロストレック S:HEVには、スバルにしか作れない、数々のこだわりのメカニズムが詰まっているということだ。

ニッチ(すきま)狙いと呼んでしまってはもったいない。こういうモデルが、クルマの世界を楽しくしてくれる。そう私は信じている。
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