幻に終わった「核禁条約会議」オブザーバー参加 核兵器「先制不使用宣言」こそ核廃絶への第一歩

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アメリカ・ニューヨークの国連本部で開かれた核兵器禁止条約の第2回締約国会議(2023年11月、共同)
被爆者や核軍縮を求める市民の間で高まる、核兵器禁止条約締約国会議への日本のオブザーバー参加。しかし、そのハードルはきわめて高く、仮に実現したとしても、今の日本の政策のままでは核廃絶への第一歩とはならない。

岩屋毅外相は2月18日の記者会見で、アメリカ・ニューヨークで3月3日から開催される核兵器禁止条約の第3回締約国会議へのオブザーバー参加を見送ると発表した。

「核兵器国を交えずに核軍縮を進めることは難しく」「オブザーバー参加は、わが国の核抑止政策について誤ったメッセージを与え、平和と安全の確保に支障を来すおそれがある」というのがその理由だ。

日本のオブザーバー参加については、核兵器の廃絶を求める被爆者や市民の間で期待が高まっていた。その背景には、被爆80年という「節目の年」を控えた中で日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞したことがある。

そして与党公明党の新代表に就任したばかりの斉藤鉄夫議員が、2024年11月27日にオブザーバー参加の要望書を石破茂首相に提出したことも期待を高めた。斉藤代表が広島3区選出ということも少なからず影響したと見られる。

アメリカへの遠慮で条約に署名できない?

「核兵器禁止条約に署名できないとしても、せめてオブザーバー参加はすべきだ」との声が上がっていた。だが、そもそもこの要求には大きな誤解がある。

というのも、日本は核攻撃を受けていない状況において敵よりも先に核兵器を使用することを自制する「先制不使用」をアメリカが宣言することにさえ反対しているからだ。比較的ハードルの低い先制不使用宣言にすら賛同しないのだから、現時点での核兵器禁止条約への署名はもちろんのこと、早期の核兵器禁止条約署名に向けた第一歩としてのオブザーバー参加も難しいのは当然のことと言える。

そこで、核兵器禁止条約締約国会議オブザーバー参加問題を考えるうえで、先制不使用宣言についても理解する必要がある。

先制不使用宣言とは、言い換えると、「アメリカやその同盟国が核攻撃を受けた時以外は、核兵器を使わない」という宣言だ。また、「アメリカの核兵器の唯一の目的は他国による核攻撃の抑止である」という形の宣言も検討されてきた。

日本は、核廃絶に向けたこのような小さなステップにさえ反対しているのだ。要するに日本が核兵器禁止条約に署名しないのは、日本自身の判断によるものであり、アメリカに遠慮しているのではないのである。

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