2009年から大阪府門真市で勤務する宇都宮さんが採集に出かけるのは、もっぱら休日の土日。基本、遠出はせず、1時間ぐらいで行ける場所に出かけて朝から3時間ほど集中して探す。「ほかのハンターが1000回歩いても見つけられなかった場所にしつこく行って、化石を見つけ出すのが快感」だという。
「そういう場所で普通に歩いても化石は見つけられません。だからこそ、ほかの人とは違う視点が養われます。それに、たくさん化石が出るような誰でも採れる場所に行っても面白くないんです。日本国内で、何回も行けるような身近な場所で恐竜化石が出るから、充実感があります」


また、化石を見つけるには定説を疑ってかかることも重要だ、と宇都宮さんは言う。
「かつて、日本は海成層が多いので恐竜はいないと言われていた時期がありました。しかし、1968年にフタバスズキリュウの化石が発見されたころから、この定説を疑ってかかる人が増えた。その結果、近年は恐竜化石の発見が相次いでいます。地元の化石ハンターが見つけたものもたくさんあるんですよ」


独自の視点を養い、定説を疑う。こうして宇都宮さん自身も、数々の重要化石を発見してきた。冒頭で紹介したものは、その一部だ。
自身の名前がついた化石も
2002年に宮崎県五ヶ瀬町祇園山で発見された新種サンゴ化石には「シリンゴポーラ・ウツノミヤイ」、2004年に鹿児島県長島町獅子島で発見されたクビナガリュウには「サツマウツノミヤリュウ」と、宇都宮さんの名前がついている。
研究者であっても、自身の名が付く新種を見つけることは至難の業だろう。なぜアマチュアでありながら大きな成果を残せるのだろうか。
「遊び心があるからだと思います。もし、化石を仕事にしていたら大変だったでしょうね。仕事は期限までに成果を出して当たり前ですが、『いつまでに化石を見つけないといけない』という気持ちでは、見つかるものも見つからない。本業で食えているからこそ趣味が楽しめるし、化石も見つけられるのだと思います」

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