AI時代の中高年に欠かせない"蓄積と機嫌のよさ" 経営共創基盤 共同経営者・塩野誠氏に聞いた

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そこでわれわれ人間に求められるのは、AIの仕事をチェックする能力だ。

つまり、チェックのための基本的なスキルは自分の側に蓄積しておく必要がある。わかりやすいのが語学だ。自動翻訳が進化を続け、英語でのビジネスメールやチャットが非ネイティブの使役するAI同士のやり取りになっていくとしても、最終的にその英文が適切かどうかを確認するのは高度な語学力を持つ人間だ。

また、「飲み会の英語」は今後も人間のものだ。リモートでの会合も普及したが、画面を通じたやり取りは情報量が少ない。AIはビールを飲めないし、直接会って人間同士で話すことの意味は依然大きい。カジュアルかつ価値ある対面コミュニケーションの場における生身の言葉は残るはずだ。AI時代には、人間の身体性がより貴重かつ重要なものとなる。

人脈を作るうえでの基本

身体性の世界で勝つための条件が、2つ目に挙げた「機嫌のよさ」だ。

デスクワークをAIが担う中では、「誰々にすぐメールできる、電話できる」といった人脈がより大きな意味を持つ。人脈もある種の蓄積だが、今からでも「話しかけやすい人物」「楽しい人物」であろうと心がけてほしい。仕事における困り事の原因が数人の面倒な人物であるケースは多いが、他方で機嫌のいい人には社内外から情報が集まるし、それは仕事をスムーズに進める力になる。

「自身の蓄積をベースにAIを駆使するご機嫌なビジネスパーソン」が最終形態だとしたら、あなたは今どこに立っているだろうか。新たにスキルを修得し「蓄積」を始める段階だとしたら、注意が必要だ。デジタル系のスキルは変化が速く、早期に陳腐化する可能性が高い。

身体性と結び付いた「品」や「教養」こそが最強のスキルだと私は考えるが、修得は容易ではない。いま取り組む必然性のあるスキルは何か。戦略的に判断しなければならないのである。

(聞き手:山本舞衣)

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山本 舞衣 『週刊東洋経済』編集者

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やまもと まい / Mai Yamamoto

2008年早稲田大学商学部卒業、東洋経済新報社入社。データ編集、書籍編集、書店営業・プロモーション、育休を経て、2020年4月『週刊東洋経済』編集部に。「経済学者が読み解く現代社会のリアル」や書評の編集などを担当。

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