スキルを"身に付けるだけ"で終わらせない心得 組織開発コンサルタント・勅使川原氏に聞く

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組織開発コンサルタント 勅使川原真衣氏
勅使川原真衣(てしがわら・まい)/組織開発コンサルタント。1982年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。外資コンサルティングファーム勤務を経て独立。2017年に組織開発を専門とするおのみず株式会社を設立(© 稲垣純也)
『週刊東洋経済』3月8日号の第1特集は「40代、50代のための『稼げるスキル』大全」。転職や定年退職を見据えたとき、40代、50代が身に付けるべきなのは汎用性のある「ポータブルスキル」だ。
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新しいスキルの修得に当たり個人がまず考えるべきは、「今の自分がそれを身に付けることで何が起こるのか」だ。

昨今、リスキリングやスキルアップというと、学ぶこと自体に焦点が当たりがちだが、「そのスキルは仕事の中でどう評価されるのか」が明らかになっていなければ、ただ身に付けるだけで終わってしまう。

例えば、現在勤務する企業で働き続ける前提のリスキリングなら、周りの人が持つスキルとの組み合わせや自身の職務の中で生かしていく道までの合意形成が必要だ。貴重な時間を割くより前、学び始める前に、スキルを評価する仕組みの有無を点検しておきたい。

よって、経営層が最初にやるべきことは、学ぶことの体系化ではなく、評価の体系化だ。「当社が評価するのはこういうスキルです。自分も学びます。皆さんも学んでください」という順番で進めていくことになるが、現在それができている企業はほとんどない。

周りのスキルを生かす視点を持つ

そもそも、リスキリングというのは経営の文脈で使われ始めた用語だ。枯れた事業領域からの労働移動を前提とした社員教育を指すもので、個人のスキルアップとは意味合いが違う。意思決定層の読者には、その点を再度意識し、問題が個人化しすぎていないかを折々に見直してもらいたい。

管理職に就いている人の場合は、自分がスキルを身に付けることのみにフォーカスするのではなく、周りのスキルを生かすという視点を持っておくといいだろう。中高年にとっては、土地勘のない分野のことを一から学ぶより、マネジメントスキルを伸ばすほうが実効性の高い場合も多い。

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