医師が解説「健康診断」までに肝臓を改善するコツ 「あと1週間しかない」検査前に気をつけること

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まず、健康診断の肝機能検査項目の代表的な3つの数値について説明しておきましょう。

・ALT(GPT)基準値10~30U/L 理想値5~16U/L
肝障害があると血液中にあふれ出る肝細胞の酵素。血液検査のALTが高い場合は、肝臓の細胞が現在進行形で壊れている証拠です。とくに、「糖質の摂りすぎが原因の脂肪肝」で高値になる傾向があります。
・AST(GOT)基準値10~30U/L 理想値5~16U/L
肝臓や筋肉に多い酵素で、ALTとの比較で肝機能の状態を見るのに用いられます。通常、脂肪肝の場合は、ASTよりもALTのほうが高値になります。また、ASTがALTより高い場合はアルコール性肝障害が疑われます。
・γ‐GTP基準値男性10~50U/L 女性10~30U/L
肝臓でつくられ、胆汁に排出される酵素。アルコール性肝障害の目安とされ、お酒をよく飲む人が気にしている検査項目です。ただ、アルコールだけでなく、糖質の摂りすぎやストレスでも高値になる場合があります。

「隠れ脂肪肝」にも注意したほうがいい

これら3つの検査項目のうち、とくに注意してほしいのがALT

2023年、日本肝臓学会は奈良市で開かれた学会で、「ALTが30を超えたら、かかりつけ医を受診してほしい」という提言を行い、これは「奈良宣言」と呼ばれています。この目安通り、ALTが30を超えていたら、脂肪肝になっているのはほぼ確定と言っていいでしょう。

ただ、私は学会よりも基準ラインを低く設定し、ALTもASTも5~16U/Lを「理想値」としています。なぜなら、長年肝臓の医療に携わってきて、ALTが10台の後半でもわずかに脂肪蓄積が見られ、ALTが20を超えるともう「軽度の脂肪肝」と言っていい状況であることが分かっているからです。

そのため、私はALT20~30の場合は「隠れ脂肪肝」の疑いアリとしています。みなさんも、過去の健康診断の数値を見直してALTが20を超えていたら、もう脂肪肝に片足を突っ込んでいると思っておいたほうがいいかもしれません。

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