よみがえったアバクロ、「5年で利益10倍」の復活劇 「全米で最も嫌われたブランド」をどう抜け出した?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
2009年、日本初上陸のアバクロ銀座店。マッチョなアピールがなされていた(撮影:梅谷秀司)

有名ブランドのブティックが立ち並ぶ東京・銀座の中央通り。セールシーズンまっただ中の1月中旬、訪日客らでごった返すユニクロとは打って変わり、6丁目交差点に面したアバクロンビー&フィッチの店内は落ち着いた雰囲気に包まれていた。

縦に細長い店舗の構造は変わっていないものの、アップテンポな曲が大音量で流れ、上半身裸のマッチョなイケメンスタッフが客を迎え入れた店の面影はほとんどない。

アメリカのアパレル大手、アバクロンビー&フィッチ社が今、大復活を遂げている。

1月13日、同社は昨年末のホリデーシーズンが好調だったとして、2024年度通期の業績見通しを上方修正した。会社のガイダンスでは、通期売上高は49億ドル超、営業利益は約7.35億ドルに達する見込みだ。

コロナ前の2019年度(売上高は36.2億ドル、営業利益は0.7億ドル)からわずか5年で、売上高は3割増、営業利益は10倍に膨らむ計算だ。同社が拡大路線を進めた2000年代以降では、2012年度に記録した売上高の最高実績を塗り替えることとなる。

大量閉店からどう巻き返したのか?

復活の兆しが鮮明になったのは、ここ2~3年のことだ。2023年度以降、主力ブランドであるアバクロの既存店売上高は毎四半期、前年同期比で10~20%台の高成長を続け、若者向けブランドのホリスターも2024年度に入ってから2桁増を記録している。2023年の株価の上昇率はエヌビディアをも超えたと話題になった。

「私たちは複数年をかけて会社を再建し、非常に強力なグローバル基盤を構築した。2025年も勢いを継続していく」。上方修正発表後の1月14日、アバクロのフラン・ホロヴィッツCEOは現地メディアCNBCの番組に出演し、そう自信をのぞかせた。

2010年代半ばには大量撤退を余儀なくされ、身売り交渉まで飛び出したアバクロ。いかにして復活を遂げたのか。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事