「一揆」と「SNS」歴史作家が語る驚きの"共通原理" 意図的に自分の名前を広めようとした首謀者も

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「戦国時代の前の時代」については、よく知らない人が多いという(写真:buritora/PIXTA)
1月17日から公開された映画『室町無頼』。その原作の著者で直木賞作家の垣根涼介氏が、室町時代の特徴の1つとして挙げているのが「一揆」の存在だ。また一方、『応仁の乱』のベストセラーで知られる歴史学者の呉座勇一氏は、「一揆」の原理について「それはSNS」だと喝破している。
一見、無関係のように思える室町時代の「一揆」と現代の「SNS」は、どこで、どのように響き合うのか。2人の対談が収録された書籍『室町アンダーワールド』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

一言では説明するのが難しい「中世」という時代

垣根涼介(以下、垣根) 呉座さんは中世がご専門ですよね。そもそもなぜ中世を選んだんですか?

呉座勇一(以下、呉座) 一言でお答えするなら、中世が一番わかりにくい時代だからでしょうか。

古代はいわゆる律令国家の時代で、都にいる天皇を中心に政治が行われました。近世、いわゆる江戸時代は、江戸幕府があって、徳川将軍家を中心とした秩序がある。近代になると明治政府ができて、中央集権国家でもって近代化を目指していくというように、割とイメージがはっきりします。

その点、中世というのは、どのような時代かといわれると、一言では説明するのが難しい。天皇もいれば、将軍もいて、大名たちもいて、民衆が一揆を起こすなど、非常に複雑で混沌としています。そこが面白いし、現代にも少し通じるところがあるのではないかということで、興味を持ったというのがきっかけです。

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