欧州経済にとって、ドイツとフランスは、両翼のエンジンにほかならない。そのエンジンが不調なら、欧州経済は当然、低空飛行を余儀なくされる。他方で、好調が期待できる地域もある。それが中東欧だ。欧州連合(EU)に加盟している国々のみならず、EU未加盟の南東欧(西バルカン)の諸国も、高成長が見込まれている。

中東欧はなぜ高成長が可能なのか
高成長の要因はいくつか存在する。第1に、労働需給の逼迫を反映した実質所得の増加が見込まれるという要因がある。中東欧では雇用がタイト化しており、それに合わせて賃金も力強く増加している。一方で、物価の安定が見込まれることから、実質所得が増加し、それが個人消費や住宅投資を押し上げると予想されているわけだ。
第2に、ドイツや中国を中心に、中東欧に対する直接投資の増加が見込まれることがある。国内での生産コストの急増やアメリカのトランプ新政権からの圧迫などから、ドイツの企業は国内での生産を手控える一方、中東欧での迂回生産を強めるという観測が高まっている。中国企業も、電気自動車(EV)関連を中心に中東欧への進出を強化している。
そして第3に、これが最大の高成長のドライバーとなるが、中東欧に対してEU復興基金(コロナショック後の景気回復を促すための特別予算)から多額の資金が配分されることがある。こうした資金の多くが、中東欧のインフラ開発に充てられるため、建設投資が盛り上がり、中東欧の経済成長を加速させると見込まれているのである。
EU未加盟の西バルカン諸国に対しても、2024年から2027年の間に、EUから60億ユーロの資金援助が行われ、これが建設投資を促すと期待される。なお西バルカンの要所に存在するセルビアの場合、ある程度の工業化がなされていることもあり、ドイツや中国のみならず、日系企業による投資もすでに活発化しているという特徴がある。
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