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もはやオオカミ少年化している「円安メリット」 円安効果の過大評価がポピュリズム化を招く

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  • 末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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なにもかも高くなった(写真:PIXTA)

「なぜインフレ率が鈍化しているのに日銀は利上げをするのか」と、海外投資家から率直な質問を受けた。

この問いに対して、「インフレ目標達成のことだけを考えれば、低金利政策を維持して円安圧力をかけ続けたほうがよいと言えるが、その間に家計の消費マインドが悪化して個人消費が弱くなってきたので、政治的にも円安に耐えられなくなった」と筆者は回答した。

この回答に対して、質問した海外投資家は、日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)やマイナス金利政策は、円安によってインフレ目標を達成するための政策だったのではなかったのか……?と不思議がっていた。

「円安インフレ」が低金利の狙いだったはずだが

むろん、この日銀の作戦が成功したかどうかの評価には数年はかかるだろう。そもそも物価目標達成はベストケースであり、異次元緩和からの脱却への道筋を付けられただけでも及第点だ、という評価もあるだろう。

いずれにせよ、この作戦が苦戦を強いられているのは事実である。

この背景にあるのは、①円安の悪影響(悪い円安論)が想定外に大きかったこと、②円安の恩恵(Jカーブ効果)が想定外になかったこと――だろう。

このうち、①悪い円安論については多くの国で一般的に生じていることであり、日本だけの問題ではない。

10月27日に行われた衆院選では与党が過半数割れとなったが、11月5日に行われたアメリカ大統領選でも現職副大統領のハリス氏が敗れた。家計や世論はインフレに弱いという面がある。

したがって、より重い課題は「②円安の恩恵がほとんど出てこないこと」である。

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