「らくらくスマホ」新モデル開発で直面した"ニーズ" 押し込み操作とタッチ操作で新たな需要を開拓

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この開発思想は、ドコモ向け新機種「らくらくスマートフォン F-53E」に色濃く表れている。最大の特徴が「らくらくタッチパネル」だ。一般的なスマートフォンが画面への軽い接触で反応するのに対し、画面を実際に押し込む動作で操作する独自の仕組みを採用。押した時には振動で実際のボタンのような操作感が得られ、スマートフォンに不慣れな利用者でも誤操作を防ぎながら確実な操作が可能となる。この感触重視の設計を新機種でも継承しつつ、ディスプレイの輝度は従来比1.3倍に向上させ、屋外での視認性も高めた。

「らくらくタッチパネル」
らくらくスマートフォン F-53Eは押し込む操作がタッチになる「らくらくタッチパネル」を搭載する(筆者撮影)

カメラにはソニー製の高性能なイメージセンサーを採用し、暗所でも鮮明な写真が撮れるよう配慮した。背面カメラの配置にも独自のこだわりがある。一般的なスマートフォンが端に寄せて配置するのに対し、らくらくスマートフォンは中央に固執する。左右どちらの手で持っても自然に構えられ、指が写り込みにくいという利点を守るためだ。カメラを中央に配置すると他の部品が搭載できなくなる制約があるため、高度な設計が必要になるという。

新たに背面には自律神経の計測機能も備える。センサーで読み取ったデータを独自のアルゴリズムで分析し、高度な計測とアドバイスを提供する。

新市場を開拓する2つの新機種

一方、FCNTは従来とは異なるアプローチの2機種も投入する。Y!mobile向け「らくらくスマートフォン a」とSIMフリーの「らくらくスマートフォン lite」だ。これらの機種では、従来機種の特徴的な「らくらくタッチパネル」はあえて搭載せず、使いやすさを重視したユーザーインターフェイスの実装にとどめた。いわば、一般的なスマートフォンを「らくらくナイズド」するアプローチだ。

「らくらくスマートフォン a」は、アクティブシニアをターゲットに据える。自ら積極的にスマートフォンを使いこなしたいという層に向け、6.1インチの大画面、4500mAhの大容量バッテリー、5010万画素カメラと、ハードウェアスペックを重視した設計となっている。自律神経測定機能も搭載し、健康管理をサポートする。

健康サポートアプリ
らくらくスマートフォンaにはソフトバンクの健康サポートアプリも搭載される(筆者撮影)

Y!mobileは、この新機種に合わせて充実したサポート体制も用意する。専任のスマホアドバイザー1200人を配置し、操作の不安に対応。さらに、24時間365日・回数無制限で利用できる健康相談サービス「かんたんHELPO」や、歩きながらフレイル対策ができるアプリ「うごくま」なども提供する。料金面では、シニア向けプランとして月額1958円(データ4GB、国内通話かけ放題)という手頃な価格を実現した。

「らくらくスマートフォン lite」は、新たな市場のニーズに応える。これまで家族全員でMVNOへの乗り換えを検討する際、シニア向けのらくらくスマートフォンという選択肢がなかった。この課題に応えるべく、SIMフリー端末として開発され、想定価格5万円程度で提供される。なお、この機種はNTTドコモもSIMフリー端末として取り扱う。ドコモアプリなどをプリインストールしない異例の機種となる。

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