「風が吹いても痛い」だけではない痛風の深刻な害 「尿酸値の異常」はけっして軽く見てはいけない
しかし、痛風の本当の害は「痛み」ではなく、腎臓に大きなダメージを与えるということです。痛風(尿酸値が異常に高い状態)が続くと、尿酸の結晶が腎臓にたまり、炎症が起きると、腎臓の機能が低下します。この状態は「痛風腎」と呼ばれています。
痛風の症状が表れるのは主に足の親指のつけ根ですが、先ほど述べた痛風腎をはじめ、体のさまざまな部分もダメージを受けています。これを「臓器間ネットワーク」というのですが、これに関しては後ほど詳しく説明しましょう。
腎臓は、細胞が出したゴミのほかに、腸内細菌が作り出した毒素や、糖尿病の治療に使われる血糖値を下げるインスリン製剤などの成分も処理しています。
これらのゴミや毒素、薬の成分が増え過ぎると、腎臓の処理が追いつかず、血液の中にたまっていきます。こうして引き起こされるのが、「尿毒症」です。全身がむくんで、皮膚が黒ずみ、骨はもろくなって、目が見えにくくなり、思考力が低下します。このように腎臓が処理しきれなくなった毒素が体中を回って、全身の機能が落ちてしまうのです。
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腎臓が弱ってしまうとほかの臓器も共倒れに
「もし、腎臓を何かにたとえるとしたら、何にたとえますか?」と聞かれたとします。私だったら、舞台監督と答えるでしょう。
観客が舞台で目にするのは、演技をしている俳優ですが、俳優がよい演技をできるように全体を把握してサポートし、舞台を管理・運営しているのは監督です。同じように腎臓も、臓器の働きを下支えしている必要不可欠な存在なのです。
舞台は、監督や俳優だけでなく、美術・照明・衣装の担当など、さまざまなスタッフがチームを組み、一致団結して作り上げていくものです。それは私たちの体も同じです。腎臓は血液をろ過するだけ、心臓は血液を送り出すだけと、それぞれが切り離されているのではなく、互いにメッセージを出し合って、連携して働いているのです。これが「臓器間ネットワーク(臓器連関)」です。
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