京セラが"タフネス特化"のスマホで目指すこと 10周年のTORQUEがニッチ市場で生き残る戦略とは

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ユーザーの声からは、TORQUEが単なる耐久性の高いスマートフォンではなく、さまざまなライフスタイルに寄り添う製品として受け入れられていることがうかがえる。同時に、長年の使用を通じて培われた製品への愛着と、さらなる進化への期待が感じられた。

法人とコンシューマーの均衡戦略

アウトドア愛好家向けのスマホに見えるTORQUEだが、もう1つの顔がある。実は、法人向けとコンシューマー向けの出荷比率が半々となっているのだ。

法人向けTORQUEモデルは、その高い耐久性と信頼性から、さまざまな業界で幅広く活用されている。主な用途としては、建設現場での利用が挙げられる。過酷な環境下でも安定して動作するTORQUEは、現場作業員の重要な通信ツールとなっている。

また、運送業界でも重宝されており、ドライバー用のナビゲーション機器として使用されている。例えば、ヤマト運輸やマクドナルドのデリバリーサービスなどで採用されているという。警察や消防などの公共サービス部門でも活用されており、緊急時の通信手段として信頼性の高いデバイスとして評価されている。

京セラの通信事業部門は2024年度から法人部門に特化する方針を示している。しかし、TORQUEは例外的にコンシューマー向け市場も維持することが決まっている。

TORQUEは、コンシューマー向けと法人向けの両方のニーズに応えるため、製品ラインナップを分けて展開している。特に法人向けには、傷が目立ちにくい塗装レスモデルを提供している。このモデルは長期使用に適しており、コスト意識の高い法人ユーザーのニーズに応えている。

DuraForce PRO 3
法人向けには傷が目立ちにくい塗装レスモデルも展開する。写真右は北米向けの「DuraForce PRO 3」(筆者撮影)

「通信事業部は法人向けに注力していますが、TORQUEについてはコンシューマーを意識して開発しているのは変わりません。次の10年、20年と長く愛されるブランドでありたい」と伊東氏は語る。

この両立が、TORQUEの強みであり、同時に継続的な課題でもある。変化し続ける市場環境の中で、TORQUEがどのように進化を遂げ、ユーザーの期待に応えていくのか。10周年を迎えた今、TORQUEブランドの真価が問われている。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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