中嶋聡監督の「電撃退任」で組織に起きうる大変化 令和の名監督の凄さと限界、最後に与えた教え
この3年を振り返ると、まず初年度は「ラオウ」杉本裕太郎の飛躍が大きかった。前年に1軍で放ったホームラン数はわずか2本ながら、2軍時代から目をかけていた中嶋監督が4番に抜擢すると、32本を放って本塁打王を獲得した。他にも、サードへコンバートした宗佑磨(ショートから外野にコンバートされた過去を持つ)、2年目の紅林弘太郎といった若手が活躍を見せた。
2022年は主力の離脱などもあり前半戦を5位でターンするも、盤石の投手陣と3人の捕手運用、吉田正尚を軸に中川圭太ら新たにブレイクした選手の活躍もあって福岡ソフトバンクホークスとの激しい優勝争いを制した。
2023年はオフに吉田正尚が退団したものの、新たにライオンズから森友哉を獲得。首位打者を獲得した頓宮裕真や育成ルーキーの茶野篤政といった新顔に加え、投手では山下舜平大などの活躍もあった。ふたをあければ一度も月間負け越しがなく、独走での3連覇を果たした。
常勝チームがゆえの「慣れ」がゆるみと転落の要因に?
輝かしい3連覇から、2024年は5位に沈んだ。やはり勝負の世界で勝ち続けること、選手個人ではなく、チーム全体として結果を出し続けることがいかに難しいか、バファローズを見ていて感じた人も多いだろう。
主力の退団や負傷離脱もあったが、今季は連覇を果たしてきたがゆえの「ゆるみ」も転落の要因だったと考えられそうだ。中嶋監督自身、退任の理由について「慣れ」として次のように述べている。
この点については、中嶋監督の特徴である「若手抜擢」と、選手の自主性を重んじ、「強制」するのではなく「寄り添う」姿勢のマネジメントが、最初は有効に働いた一方で、4年間の政権のなかで裏目になった部分もありそうだ。
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