「教師が教え子に痴漢?」拡散動画の本質的な問題 教師だけでなく、投稿者の行為も罪に問われるか
体を触られた生徒の保護者からは寛大な措置を求める声もあったというが、学校は教師を懲戒処分にした。なお、2人が交際・恋愛関係にあるという話は聞いていないという。
“行き過ぎたスキンシップ”に問題はないのだろうか。
学校問題にくわしいライターの渋井哲也さんは「『教員による性暴力防止法』は、教員が児童・生徒に性暴力をふるうことを禁止しています。刑事罰とならない行為も含まれており、児童・生徒の同意の有無は問われないとされています。今回の動画を見ましたが、教師の行為は『わいせつ』とまではいかないまでも、法の趣旨からはNGといえるでしょう」と指摘する。
10月1日には、学校から保護者に事案を報告しており、さらに動画の投稿者に対して法的措置を検討しているという。
「学校は生徒を守らないといけません。生徒の顔を晒して、このような動画を公開することは大きな問題と捉えています。言われのない新たな誹謗中傷を生むような行為です。警察に相談しています」(校長)
今回の投稿を受けて、SNSでは教師の行動を批判する声も上がる。しかし、女子生徒の顔まで公開したことに、「女子生徒の周辺の友人や同級生は、このポストを見て容易に個人を特定できるだろう」「SNSで拡散する必要ないでしょ。女の子の人生をなんだと思ってんの」と投稿者の行動を疑問視するものも少なくない。
名誉毀損と肖像権の侵害は?
インターネットの問題にくわしい清水陽平弁護士は「教師を名指しで『痴漢をしている』という指摘がされている点で、教師の社会的評価が下がると言えることから、名誉毀損の問題が生じる」と指摘する。
「ただし、投稿には、公共性や公益目的があると思われることや、動画で、生徒の体に触っているという指摘自体は真実であり、生徒が嫌がっている様子もないように見えます。そのため、『痴漢』という指摘が適切かはわからないものの、その指摘に違法性がないと判断される可能性は高いと思います」
今回のケースでは、動画によって、教師と生徒の容貌が判別できる形で公開されたことから、肖像権の問題も生じる。肖像権は「受忍限度」を超える場合、つまり、我慢すべき程度を超える侵害があった場合に問題となる。
「生徒との関係などを踏まえると、教師の行為は適切でない、とはいえます。しかし、仮に生徒の同意があるのであれば、あえてSNSに公開するのではなく、学校に通報するだけでも良かったとも考えられます。教師の受忍限度を超える侵害があるとされる余地はあると考えます。
生徒についても、当初の動画では容貌が確認できるものだったであったようであるため、肖像権の問題が生じます。また、未成年であり、仮に『痴漢』されていた場合には通常、被害者の情報まで晒すのはどうかといった配慮があることなども考えれば、受忍限度を超える侵害があるということになると思います」
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