ソフトバンク、膨らむ借金「11.6兆円」の重圧 フリーキャッシュフローを改善できるか

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活路が見えにくい中、新たな手法による改善策が示された。8月4日に孫社長はスプリントの決算発表後に行われた電話会議に初めて参加。財務負担の軽減を目的に、リースファイナンス会社を設立することを発表したのだ。同月6日、日本で行ったソフトバンクグループの決算会見で孫社長は、スプリントの社債を増やさず、新株発行による資金調達も行わずに、設備投資と収益改善を進める方針を打ち出している。

前出の藤原CFOは、リースファイナンスについて、「割賦債権の流動化と似た仕組み」と説明する。日本では資金回収を早めるため、携帯電話の割賦販売による債権を流動化し、それを運転資金に活用している。詳細は未定だが、スプリントの場合、ユーザーと結んだ端末のリース契約を債権として、新設会社を使って“資金化”する形になりそうだ。

大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは、「(新会社設立は)キャッシュフロー上はプラス。資金調達能力に乏しい会社には、こうした仕組みが重要。どれだけ現金の支出が減らせるかをチェックしたい」と語る。

次なる大型買収も?

孫社長は決算会見で、「スプリントを必ず改善してみせる」と明言し、テコ入れに邁進する姿勢を示した。それから10日余り。孫社長がほれ込んで2014年に迎え入れた、元グーグル幹部のニケシュ・アローラ副社長が「これからのコミットメントを示すもの」として、個人で600億円の自社株買いを行うと発表。その意気込みに市場は驚いた。

スプリント再建の行方は、グループ全体の財務改善のみならず、今後の成長を大きく左右する。ただ、「皆さんより2年先を見ている」という、孫社長。将来の展望が変われば、目線を切り替え、次なる大型買収に打って出る可能性も十分ありそうだ。

「週刊東洋経済」2015年9月12日号<7日発売>「核心リポート03」を転載)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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