堀江貴文「退職金は給与後払い」という悪しき習慣 働き盛りにもらうお金のほうが何倍も価値がある

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しかしいまは戦後ではない。当時とはまるで状況が違う。それにもかかわらず多くの企業がかつての退職金制度を変わらずに用いている(2023年時点で退職金制度のある企業の割合は約75%)。

なぜだろう? そう。そういうことだ。退職金は企業にとって都合のいい制度にほかならないからだ。

無利息で運転資金を調達できるのである。しかも後払いの際(退職金を支払う際)には感謝までされる。さらに万が一倒産し、退職金にまわす資金がなくなったら支払う必要はない。魔法のような資金スキームである。つまり退職金制度は従業員のためにあるのではない。企業のためにあるのだ。

でも一方で、退職金制度は福利厚生(従業員やその家族に対する生活支援)の一環だとアピールする経営者も少なくない。冒頭で挙げたようなポジティブなイメージがまかり通っているのはそのせいだ。

福利厚生というアピールはミスリード

中小企業の退職金の相場は、大卒で約1100万円、高卒で約1000万円(新卒入社で定年まで勤務した場合)。大金といえば大金だ。いざ支払うとなれば、それなりの負担にはなる。まして経営状態の思わしくない、内部留保の限られた企業ならなおさらだろう。退職金を工面するのはひと仕事だ。そうした事情を鑑みて、従業員に対する福利厚生だと勝手に決めつけているわけだ。

退職金の性質について法的に明確な定義はない。だから福利厚生だというその決めつけもウソにはならない。しかしウソにはならないが、明らかなミスリードだろう。

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