利上げ直撃の「不動産株」、軒並み下落も強気な訳 決定翌日の三井不や三菱地所の株価は8%下落

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金利上昇は日本経済がインフレ局面に入ったことの裏返しでもある。「不動産価格が上昇を続けることを見越し、今のうちに資産形成を、というニーズが根強い」(塩澤COO)。

事業用不動産についても、金利上昇が売買市場に与える影響は軽微だとみられている。今回の利上げ幅(政策金利を0~0.1%から0.25%に引き上げ)なら、日本のイールドギャップは他国と比べ相対的に厚いままで、引き続き海外マネーを呼び込む要素となるからだ。

加えて、住宅を筆頭に賃料水準も上昇をみせており、「利上げ幅は賃料水準と十分相殺できる水準にしかならない」(業界関係者)という見方が強い。

資材費や人件費の高騰に対する警戒のほうが強い

実際、今年3月のマイナス金利解除以降、追加の利上げが予想されていた中で、大手デベロッパー各社から、金利上昇を懸念する声はまったくといっていいほど聞こえてこなかった。利上げより、資材費や人件費の高騰に対する警戒のほうが強かった。

資金調達の面からみても、銀行の融資条件が大手に対して厳しくなることは当面ないだろう。

7月31日の日銀の金融政策決定会合後の会見で、植田和男総裁は「0.5%の壁」を意識していないと発言。2007年の利上げ時の上限となった0.5%を突破する、さらなる利上げもあるとの見方が広がり、不動産株の下落につながった。

それでも、依然として低金利水準であることに変わりはない。不動産市場の好調は変わらず、今回の株価下落はあくまで「一時的な調整で、すぐに元に戻るのでは」(塩澤COO)という見方が説得力を持つだろう。

筒井 華子 東洋経済 記者

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つつい はなこ / Hanako Tsutsui

オフィスビル、マンションなどの住宅、商業施設、物流施設など、不動産業界を担当。福岡県北九州市出身。京都大学大学院にて、イスラーム経済を研究。共空間、環境施策、海外事業などに興味関心。趣味はサイクリングと蒸留所めぐり、相撲観戦。

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