「うつ防止」脳科学的にお勧めの「テレビの見方」 見ているだけだと「脳の老化促進マシーン」に

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それは「常識」と言われるものを重んじて、異端を許さないという同調圧力にもつながります。

しかし本来、人間というのは全員が同じ意見を持つことなどあり得ません。それなのに「皆と意見を揃えるべきだ」などと考えているとストレスは溜まっていくばかりです。あまりに強い同調圧力が常に存在している状態はストレスのもとになり、うつ病などの精神疾患にもつながりかねません。

ですから、うつにならないためには、その社会で「常識」とか「当たり前」とされるものを疑ってみることも大事です。

たとえば、いじめによる生徒の自殺が起きたとき、ワイドショーではその学校の体制や体質を糾弾しますが、そこを責めても「正義の味方」気分を味わえるだけで、何の解決にもつながりません。

それよりも、「そんな学校からは逃げたほうがいい」「どんどん人に泣きついていい」「我慢なんてしてはいけない」ということを伝えたほうがいいのです。

「逃げる」は大事な生存戦略

これは学校だけでなく、企業でも同じです。

職場が辛いなら、我慢をしないで逃げればいい。日本人には子どもの頃から「逃げるのは良くないこと」といった概念が刷り込まれているように思いますが、辛いときに逃げるのは、「常識」以前に、人間として基本的な防衛本能であり、大事な生存戦略です。

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戦でも勝ち目がないなら退却すべきで、むやみに突っ込んでいくとか、ひたすら耐え忍ぶのは愚策としか言いようがありません。職場でもじっと我慢していたら、うつ病になって心身を疲弊させてしまいます。「逃げるのは人として卑怯だ」なんて言っていたら自らが壊滅するだけです。

いじめ加害者やパワハラ上司、問題を見過ごす会社の体質は、そんなに簡単には変えられません。環境が劣悪なときには、環境から逃げることです。逃げることは卑怯でも何でもなく、自分自身の身を守ることにつながるのです。

和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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