胸張る石丸氏と涙目の蓮舫氏に見る野党の限界 快進撃を続けてきた「立憲・共産」協力も通用せず

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これとは対照的に蓮舫氏は小池氏当選確実の報道を受けた記者会見で「失意泰然だと思う。多くの方に温かい言葉と応援をいただき、そして私も思いを心から訴えることができた」とあえて胸を張り、敗因については「私の力不足。そこに尽きると思う」と頭を下げたが、目には涙がにじんでいた。

そのうえで、蓮舫氏は今後の政治活動について「現時点でこの選挙戦、自分の中ではまだ完全にピリオドを打てている気持ちではないので、もう少し考えたい」と明言を避けた。

もともと、同氏周辺からは「次期衆院選で東京の新選挙区から出馬、国会議員に返り咲く」との声が出ていたが、今回の“惨敗”で「蓮舫ブランドも地に落ちた。次期衆院選出馬は考え直すべきだ」(立憲民主選対)との声も相次ぐ。

蓮舫 東京都知事選
東京都知事選の落選後の会見で目に涙を浮かべた蓮舫氏(写真:東京スポーツ/アフロ)

“涙目”の蓮舫氏と明暗くっきり、胸張る石丸氏

そうした中、「政治的には敗者ではなく、むしろ勝者」(政治ジャーナリスト)となった格好の石丸氏は午後8時過ぎの記者会見で、まず小池氏3選を「都民の総意が表れた」と位置付けたうえで「今回の選挙で私のチームは本当に全力を尽くせたなと感じる。後援会長、選対チーム、そしてボランティアスタッフメンバー、数え切れないほどの力を頂戴した。胸を張って、できることは全部やったといい切れる」と笑顔で語った。

さらに、記者団との質疑応答の中で、今後の政治活動について問われると「まだ決めていない」とかわしつつ、国政進出の可能性について「選択肢としては当然考える。たとえば広島1区……岸田首相の選挙区です」といたずらっぽい表情で、次期衆院選で岸田首相の選挙区に出馬する可能性に言及した。

もちろん、「今回のように完全無所属での殴り込みでは、当選は困難というのを承知のうえでの発言」(選挙アナリスト)との受け止めが多く、岸田首相サイドも「売名行為では」(後援会幹部)と真意をいぶかる。

ただ、地元の選挙関係者は「石丸氏の狙いは、来年秋の広島県知事選出馬ではないか」と読み、「その場合は台風の目になる」と警戒心も隠さない。

いずれにしても、「今回の七夕決戦は、改めて選挙のやり方そのものを見直すきっかけになった」(政治ジャーナリスト)ことは間違いない。中央政界ではすでに各党が、今回のような想定外の事態を防止するための公選法や条例の改正を急ぐ構えだ。ただ、「旧態依然の現職国会議員の発想では、付け焼き刃の見直ししかできない」(選挙アナリスト)との厳しい見方も少なくないのが実態だ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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