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今はなき「小田急モノレール」レア技術の塊だった 「向ヶ丘遊園」への足、日本に2例だけのシステム

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  • 森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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小田急電鉄の向ヶ丘遊園モノレール(デハ500形)。航空機と同様のモノコック構造で設計され、ボディの素材に軽量のアルミ合金を使っている(写真提供:小田急電鉄)

2024年はモノレールが歴史上、初めて登場してから200年目に当たるという。記録に残る中で世界初とされるのは、1824年、イギリス人のH・パーマーが、木材レールと馬力を用いた貨物運搬用のモノレールをロンドンの造船所に敷設したものである。

モノレールの技術が大きく発展したのは、自動車の増加による渋滞緩和という文脈においてであり、海外で研究された技術が1960年代前半、日本に次々と輸入された。

その中の1つに、アメリカの航空機製造大手、ロッキード社が考案し、川崎航空機(現・川崎重工業)などが出資する日本ロッキード・モノレール社が実用化した「ロッキード式モノレール」があった。ロッキード式は、小田急電鉄の向ヶ丘遊園へのアクセス路線および姫路市交通局の2路線に採用されたが、いずれもすでに廃止されている。

今回は、向ヶ丘遊園モノレールに着目し、導入の背景や、実際にどのような運用が行われていたのかなどについて調査し、現役当時の運転士にも話を聞いた。

100年間発展しなかったモノレール

モノレールが歴史に登場してから1世紀の間で、実用線として成功したのは、1901年3月に開業したドイツのヴッパータール空中鉄道が、ほぼ唯一の例だった。ヴッパータールの市街地は谷間の狭い地形に広がり、市内を流れるヴッパー川の上空に高速交通を通さなければならない事情があった。

だが、こうした特殊な例を除けば、わざわざ中空に1本のレールを敷設して、バランスを取るのが難しいモノレールを建設する理由がなかったため、モノレールという技術が発展することはなかった。

【写真】小田急のモノレールが採用していた「ロッキード式」とは?貴重な断面図や現役当時の姿、運行ダイヤなど(12枚)

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