同じコンビニが「近所に何軒も出店」の意外な勝算 セブン-イレブンが競合を圧倒する納得の理由とは

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福井県・石川県を本拠に、岐阜県、愛知県、滋賀県へと南下を進めるGenky DrugStoresの場合は、「シェアナンバーワンになるまでは新規エリアに進出しない」という方針のもと、徹底した店舗運営の標準化と単純化、自前の物流センター構築を進め、どこの同社店舗を利用しても、生鮮品や総菜を含め、同じように買い物ができる店舗展開を図っています。

立地条件によって店舗の機能を振り分ける

神奈川県で圧倒的シェアトップのクリエイトSDホールディングスでは、県内でのドミナント化を進めています。

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食品スーパーを子会社にもち、青果・精肉・鮮魚の生鮮三品も扱う同社ならではのドミナント展開にもチャレンジしています。

たとえば、ある私鉄駅から徒歩5分圏内に3店舗を展開していますが、それぞれの立地条件により、少しずつ店舗の機能に違いを設けています。

線路沿いにあり、駅からすぐ目に入る店では、日用雑貨、医薬品、化粧品のほかに、加工食品、生鮮品にも力を入れています。

同店とは駅の反対側にある店では、生鮮を扱わずに、調剤薬局を併設し、駅からいちばん離れた場所にある店の場合は、敷地に余裕があることから十分な駐車場スペースをとり、ストック用としてのまとめ買いが見込める冷凍食品を充実させています。

こうした機能や品揃えの差別化により、同じクリエイトSDの3店舗を顧客が使い分けられるように利便性を高めています。

角井 亮一 イー・ロジット取締役会長兼チーフコンサルタント

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かくい りょういち / Ryoichi Kakui

1968年生まれ。上智大学経済学部経済学科を、3年で単位取得終了し、渡米。ゴールデンゲート大学マーケティング専攻でMBA取得。帰国後、船井総合研究所に入社。2000年に通販専門物流代行会社である当社を設立、代表取締役就任。著書に「物流革命2020」(日本経済新聞社)「日経文庫 物流がわかる<第2版>」「すごい物流戦略」(PHP新書)など

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