日本発Netflix「忍者」物語の海外ウケ仕掛け術 賀来賢人原案の完全オリジナル「忍びの家」

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キャラクターの個性が見えるキャスティングが巧みだ。右から父親役の江口洋介、母親役の木村多江、忍者管理局を組織する田口トモロヲ、妹役の蒔田彩珠、次男役の賀来賢人(画像:Netflix)

物語の中心人物である優しく物憂げな次男・晴(ハル)役を賀来賢人が自然体の演技でみせ、空気が読めない父親役が意外とハマっている江口洋介と、コミカルな演技でおかしみを誘う木村多江との夫婦役の相性もバッチリ。大学生の長女・凪(ナギ)役の蒔田彩珠と小学生の三男・陸(リク)役の番家天嵩は今どき世代の特徴を捉えています。そして、すまし顔で家の中を瞬間移動する祖母役の宮本信子が存在感を示し、これら役者たちの演技によって忍者としての生き方すらリアルに感じ、劇中の「最高の忍びは影となる」という台詞が腑に落ちます。

新興宗教の教祖役に山田孝之

俵家の物語は、高良健吾演じる長男・岳(ガク)に起きた6年前の事故が1つの軸となって展開されていきます。これと絡み合うように未解決事件の真相が小気味よく明かされていくのです。サスペンス度合いが増していくなかで、俵家以外のキャラクターを演じる役者陣の魅力も引き出されています。

高良健吾(左)が演じる長男役に起きた6年前の事故の真相が明かされていく。サスペンス度合いもたっぷり(画像:Netflix)

忍者管理局の秘密組織「BNM」を組織する田口トモロヲと柄本時生が演じる世代差コンビは程よく憎たらしく、また6年前の事件を追う雑誌「ムー」記者の伊藤可憐役の吉岡里帆は、主演の賀来が演じる恋愛御法度の忍者との道ならぬ恋も期待できる役回りです。

ロマンスも入り交じる。雑誌記者役の吉岡里帆(右)と忍者役の賀来賢人の道ならぬ恋も見どころの1つ(画像:Netflix)

そして、山田孝之は新興宗教の教祖役として登場します。どこからどう見ても怪しい風貌の役柄になりきる山田に最後の最後まで目が離せません。意味深に語る台詞の裏に真相が隠されている重要人物でもあるのです。

わずかな出演時間ながらインパクトが大きい白石加代子が演じる謎の老年女性など、ひとりひとりの役者の使い方に無駄がないことにも驚かされます。ただ1人、「全裸監督」などヒットシリーズに出演するNetflix作品常連のピエール瀧の刑事役は今回、深みがないキャラクターに感じます。劇中で「じゃがいも顔」呼ばわりされるだけされて、滑稽さだけ残します。

とはいえ、全体的にキャラクター設定は見事なもの。原作がない完全オリジナル作品として、ゼロからしっかり作り込まれていることはテンポを上げて伏線を回収していく後半戦でより実感できるはず。

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