社会と折り合う「ちょうどいいわがまま」の程度 現役の医師が勧めるストレスを軽減する生き方
「わがまま」と聞くと、プラスよりもマイナスのイメージが強いでしょう。いまの日本社会で「わがままに生きる」などというと、「周囲に迷惑をかける」とか「人間関係が壊れるよ」なんて忠告されたり、周囲から浮いてしまって、「生きづらい」「やりにくい」と感じるケースもあります。確かに日本社会は生きづらい!
世界幸福度ランキング47位
国連が設立した「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が毎年発表する「世界幸福度ランキング」では、2023年には日本は総合点で世界47位なのです。GDPは24位と、かつてより大幅に後退しているものの、それでもまだ豊かな社会。しかも健康寿命は2位と、世界でも有数の健康長寿の国。それなのに幸福度は47位と先進国では下位の部類。それは、「個人の選択肢の自由」がなく、「社会の寛容性」が低いせいだと言われています。
ではなぜ日本には「選択肢の自由」や「社会の寛容性」がないのか? これはやはり、日本は同調圧力が強い国だからなのでは、と僕は思います。それを象徴するように、「空気を読む」「我慢は美徳」「出る杭は打たれる」など、日本語は「同調」を求める言葉に事欠きません。日本は「個人の自由」よりも「集団の和」を尊重し、波風立てず周りに合わせる人を評価する文化で、周囲に合わせられない人は「はみ出し者」のレッテルを貼られてしまう。
それが、他人が自分の行動をどう見ているかを意識し、「正しいかどうか」の判断は、常に「世間」によって決めるという傾向が強いのです。
人間は、自分でコントロールできない状態にストレスを感じます。いつも周囲に合わせて生きていると、肝心の自分自身を見失い、どんなふうに生きたいのか、どうすれば充実した人生が送れるのかわからなくなってしまう。自分の人生なのに、他人に気を遣ってばかりではつまらないものになってしまう。それが「生きづらさ」を感じる原因になっているのでしょう。
そこで「適度にわがままになろう」というのが本稿の趣旨です。
でも、「適度」というのが難しい……。そこでここでは、「適度」の幅を徐々に広げて考えていきたいのです。僕自身、こぢんまりとしたわがままではなく、いつかは同調圧力からはみ出し、「打たれにくい出る杭」になろうと言い聞かせ続けてきました。
「一度きりの人生、そのためには欲望を解放させよう」と、僕は自分自身に言い続けています。
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