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戦争の残滓としての「一億」という日本の思想 確実に残っている戦前と戦後の連動性とは

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  • 苅谷 剛彦 上智大学特任教授・英オックスフォード大学名誉教授

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(写真:ABC/PIXTA)

8月15日にこの原稿を書いている。いつの頃からか私たちは、1945年のこの日を境に、それ以前とは異なる社会を生きていると見なすようになった。戦前からの断絶を印象づけることで戦後の「新生」日本を位置づける、戦前と戦後との非連続性を強調する社会観である。戦前、とりわけ戦時期は、軍国主義が支配する暗黒の時代として描かれた。

他方で「総力戦体制」と呼ばれた戦時下の制度改革やそれが準備した社会変動が、敗戦後の日本社会に多大な影響を及ぼしたことを読み解く試みが、経済史を中心に展開された。

戦後も引き継がれた日本的な平等主義

例えば野口悠紀雄によれば、「1940年体制」の下で導入された税制(源泉徴収制度)や土地制度(地主の権限縮小)が「地主のいない大衆社会」の実現と、低生産性部門への再分配を可能にした。経済の高度成長の基盤となったのは、戦後の諸改革(農地解放や税制改革、財閥解体)よりも、戦時下でつくられた「間接金融」の仕組み(銀行を中心とした資金供給)や土地制度、食糧管理法などであったという。

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