「中年男性が大喧嘩」ネトフリ恋愛番組の奥深さ 「あいの里」が描く大人の恋愛にハマる人続出
また、物腰柔らかく、誰にでも優しいある住民が、冷静に周囲を分析しているようで、自身がいろんな女性に好かれていると的外れの勘違いをしている。年を経ているだけに、とんでもないモンスターに化けそうな予感を漂わせていたりと、思わず目が離せなくなるようなクセになる引力がある。
それぞれが人生経験を重ねてきているだけに、物事への理解の深さと速さがありながら、ときに生活感がにじみでていたり、相手への思いやりの角度が独特だったり、恋愛のはじまりが唐突だったりする。若者たちとは違って恋愛感情のあり方が一様ではなく、年の功によるわびさびがあるのだ。
それが滑稽に見えることもあるのだが、思いがけず深く心をえぐられることもある。MCのロンドンブーツ1号2号・田村淳は、ある住民がふと見せた何気ない仕草と意外な思いにすっかり感情移入。その恋に涙腺が崩壊し、号泣する姿を見せていたのが印象的だった。
そして、その様子を見ていて気づくのは、とくに男性は恋をして視野が狭くなり余裕がなくなるのは、年を経ても変わらないこと。そんな部分と年配層ならではの懐の深さが垣間見える言動が混在しているところが、おもしろさの1つになっている。
仕事で多忙な日々を過ごす年代に与える気づき
『あいのり』の放送時には、「いい年して恋愛するより仕事しろ」という声がSNSに上がったが、本番組に対しても同様の声もあるようだ。
40〜50代と言えば、知識も経験も豊富に蓄積し、仕事をはじめそれぞれの生きるシーンでバリバリと力を発揮する脂の乗った年代であり、社会の責任ある立場にいる人も多い。そんな年代が恋愛するためだけに集まっている様子に「いい年して何やってるの」という声はあって然るべきだろう。
その一方で、同年代の視聴者が本番組を見て得る気づきもあるようだ。多忙な日々を送り、仕事が生活のほとんどの時間を占める人生を送るなか、本番組が映す世界には、不惑の年代の意識せずとも心の奥底に息づくさまざまな願望が見え隠れする。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら