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政治・経済・投資 #今なぜ「年収の壁」

「専業主婦の年金3号はお得だ」って誰が言った?

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友だちの金融記者は、若い男性にとっても、若いときから将来のための資産運用のことを考えるよりも、2号の配偶者を探すほうが老後の安心のためだと言ったりして顰蹙を買ったりしていたが、冗談交じりの、ためになるアドバイスだと思う。日本の年金制度は、共働きで2人とも2号なら(年金給付水準などの面で)かなりいいところまできている。マクロ経済スライドによる年金給付調整で貧困リスクが深刻になっていくのは、おかしな表現になるが一方が3号にとどまろうとする片働き世帯だ。

福祉国家として先を行くスウェーデンは、1990年代に遺族への保障を公的年金から外しているし、多くの国は遺族年金を有期化している。それは「働ける人は働こう」という世界であり、働くことができる人は市場参加して初めて、国からの保障を受けられる社会になっている。

この点では昔から日本も実際には同じだった。しかし、3号の制度ができた1985年頃はまだ圧倒的に専業主婦が多かった。それ以前、専業主婦の年金加入は強制ではなかったため、本当は、それまで皆年金ではなかった。彼らの年金権を保障するために、専業主婦世帯を包摂する制度として作ったのが3号だった。単にそれだけの話であり、働いて2号になったほうが3号より有利なのは昔から同じだった。

間違った予言が自己実現的に現実化した

──ではなぜ、「3号お得」論はここまで広がり、実際に就業調整まで行われるようになってしまったのでしょうか。

私は、それは自己実現的に起きたと言っている。

横軸に余暇時間や労働時間をとり、縦軸に所得をとったグラフで考えれば、厚生年金(2号)の保険料自己負担が発生するところで手取り所得の屈折点(減少)が発生するのは当然だ。経済学者などはその図を見せて、「何時間以上働くと働き損になるから3号のほうが得だ」「3号の専業主婦は優遇されている。制度を見直さなければならない」と長年言い続けてきた。

記者をはじめ、普通の人たちがそれを聞いて、「なるほど3号のままでいたほうが得なんだ」と思うのは当たり前で、本来なら2号になれた人たちを、多く3号のままに居続けさせたのではないか。残念なことだ。

そして、研究者が実際に実証分析を行ってみると、「(3号が得だから)やはり就業調整が行われている」ということになる。間違えた認識に基づいて予言をして、その予言がまるで自己実現的に現実化している。制度を知らない人たちが、政策論議に参加してしまったための、残念な結果だとも言える。

──「3号は得だ」と言ってきた有識者は最近、若い世代で共働きが増えた状況を見て、「新しい時代にぴったりな制度に修正し、3号を廃止・見直しすべきだ」と言うようになっています。

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