赤裸々すぎ?ヘンリー王子「暴露本」に怒る英国民 麻薬吸引や戦争での経験まで「語りすぎ」懸念も

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ヘンリー王子夫妻に対してイギリスより寛容とされるアメリカでもさまざまな反応が出ており、ロナルド・レーガン大統領の娘で『わが娘を愛せなかった大統領へ―虐待されたトラウマを癒すまで』を執筆したパティ・デイビス氏は、『ニューヨーク・タイムズ』に寄せたコラムで、「ヘンリー王子はウィリアム王子に殴られた時、『殴り返せ』と言われても、殴り返さなかったと主張しているが、今回やっていることは殴り返したことに等しい」と指摘。

自ら暴露本を出した経験から、家族との関係や今後の自身のためにも「もう黙ったほうがいい」と忠告。「すべてを共有する必要はない。それは沈黙が教えてくれる真実だ。ヘンリーは『沈黙という選択肢はない』と言い切っているようだが、私は謹んで、沈黙という選択肢を提案する」と書いている。

ヘンリー王子の支持率が急落

本発売後の世論調査ではないが、調査会社「ユーガブ」によると、昨年12月上旬時点でチャールズ国王の支持率は63%、ウィリアム王子は77%、ヘンリー王子は2011年からの支持率調査開始以降、最低の33%、メーガン妃も同様に最低で25%。ヘンリー王子の支持率はかつて70%から80%の間だったが、2020年1月に公務減少宣言をして以来、急速に下落した。

9日夜、イギリス内の一部の書店では『スペア』を入手するために多くの人が列を作り、10日になったとたんに、販売が開始された。

なぜ本を買ったのか。

「自分で読んで、どんなことが書かれているのかを確かめたかった」(ある購入者、BBC、1月10日)。「王室は秘密がいっぱい。真実を知りたかった」(別の購入者、同)。

8日夜に放送された、イギリス民放ITVのインタビューで、ヘンリー王子は「過去を振り返るのはこれでもうやめる。これからは将来を見つめたい」と話した。「今も父や兄を愛している。和解したい」とも。しかし、和解の前にヘンリー王子は「謝罪」も求めている。

イギリス王室の暴露ドラマは今後も続きそうだ。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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