仮想通貨業界の風雲児「バハマで突然逮捕」の背景 破綻後も活動、FTXのバンクマンフリード前CEO
ニューヨーク州南部地区連邦検事ダミアン・ウィリアムズは声明で、「今晩未明、バハマ当局はアメリカ政府の要請を受け、封印されていた起訴状に基づいてサミュエル・バンクマンフリードを逮捕した」と述べている。「午前中に訴状を開封するが、その時にもっと話すことがあるだろう」。
仮想通貨業界のゴールデンボーイで、民主党への大口献金者だったバンクマンフリードは、その巨大なビジネスと”政治帝国”が驚くべきスピードで崩壊していくのを目の当たりにした。彼の取引所は先月破産を申請し、彼の個人資産は事実上ゼロになった。かつて彼は、現代のJPモルガンと称されたが、今では史上最大のネズミ講を指揮したバーニー・マドフになぞらえられることが多くなった。
関係者も驚く急転直下の逮捕劇
この事件に携わった弁護士たちは、突然の逮捕に驚きを隠せない様子だった。バンクマンフリードは、刑事訴追を受けると広く予想されていた。しかし、複雑なホワイトカラー詐欺事件は、立件までに数カ月かかることもある。
逮捕されるまで、バンクマンフリードは13日に行われる下院金融サービス委員会の公聴会で、FTXの破綻について遠隔地から証言する予定だった。12日の夜の時点では、この公聴会がまだ開催されるかどうか、またバンクマンフリードが参加する方法があるかどうかは、すぐには明らかにならなかった。
今回の捜査に詳しい複数の関係者は、当局が刑事告発と民事告発を迅速に行ったのは、検察当局と規制当局が協力的な証人から情報を得たことを示すものだと述べる。
バンクマンフリードは、司法省、SEC、商品先物取引委員会など、世界中の数十の規制当局から監視の目を向けられている。マンハッタンの検察当局は、FTXが数十億ドルの顧客資金を、バンクマンフリードも設立・所有していた暗号ヘッジファンド、アラメダ・リサーチに移し、法律を破ったかどうかを調べている。
また、バンクマンフリードと彼のヘッジファンドが市場操作に関与し、昨春の2つの著名な仮想通貨企業の破綻の原因となった可能性にも焦点を当てている。