茨城・水海道第一、1673人から選ばれた「電通マン」校長は、学校をどう変える? 「クリエーティブ×教育」から見える学びの未来

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もし広告業界の第一線で働くクリエーティブ・ディレクターに公立校の校長を任せたら、どう学校を変えるのだろうか――。まさにこんな問いが立つようなことが現実となった。今年4月から電通のクリエーティブ・ディレクターである福田崇さんが、茨城県立水海道第一高等学校・附属中学校の副校長に就任。来年には校長に昇格する予定だという。民間公募で選ばれ、任期は計4年間。会社を辞めずに出向という形を取っている。なぜクリエーティブ・ディレクターが教育の仕事に従事しようと思ったのか。そして、来年度からは校長として、どう学校を変革しようとしているのか。福田さんに話を伺った。

電通マンが、副校長先生になるまで

電通のクリエーティブ・ディレクターである福田崇さんは現在50歳。東京大学から電通に入社後はマーケティング部門からスタートし、その後、クリエーティブ部門に異動。CMなどを中心に制作チームのリーダーを務め、2015年には世界最大級の広告の祭典であるカンヌライオンズで審査員を経験した経歴を持つ。

福田 崇(ふくだ・たかし)
クリエーティブ・ディレクター、ブランドコンサルタント。埼玉県出身。1972年生まれ。開成高校から東京大学経済学部経営学科卒業。電通入社後は、クリエーティブ・ディレクターとして活躍するほか、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2015で審査員を務める。「教育ガラガラポンプロジェクト」代表。22年度より、電通から出向する形で、茨城県立水海道第一高等学校・附属中学校 副校長を務める

そんな福田さんが民間公募で選ばれ、今年4月に電通から出向という形で茨城県立水海道第一高校・附属中学校の副校長を務めることになった。来年には校長に昇格する予定だ。福田さんは「クリエーティブ・ディレクターの仕事は自分の天職だと思っています。その意味では、今も学校を対象としてクリエーティブディレクションの仕事をしていると考えています」と話すが、なぜ福田さんは教育の仕事をしたいと思ったのだろうか。

「私は広告の仕事に長年携わってきましたが、ここ数年、自分のクリエーティブに広がりを感じられなくなっていました。もちろん一定以上のものは作れるのですが、もっとブレークスルーしたいと思うようになったのです。教育に関しては、19年から自分で教育プロジェクトを立ち上げたことで教育界にいろんな面識もでき、自分なりに勉強もしてきました。しかし、実際の教育現場を知らずに、このままこの仕事をしていていいのか。いつか現場を経験する必要があるのではないかと考えるようになったのです」

福田さんが立ち上げた教育プロジェクトとは「教育ガラガラポンプロジェクト」という。新しい教育を提案している人たちとネットワークを構築し、日本の教育改革を大きなトレンドにすることを目的につくられたもの。福田さんは改革意欲の高い教育者と面識ができたことで、彼らから得た知見を基に講演活動などを行っていた。とはいえ、広告の仕事をしてきた福田さんがなぜ教育に関心を持つようになったのだろう。

「きっかけは娘が生まれたことです。娘をどう教育していけばいいのか。そこで教育について考えるようになったのです。そのころ自宅の周辺にインターナショナルスクールやプリスクールがたくさんできて、親の教育熱はとても高いものなのだな、ということに気づきました。教育が動いている場所にたまたま住んでいたことで、教育をビジネスチャンスと捉えるべきだと思うようになったのです」

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