岸田文雄政権が発足した。新政権に求められる政策として新型コロナウイルスに対応した医療提供体制の見直しが依然として急務だが、それで十分なわけではない。コロナ禍が「今そこにある危機」とすれば、少子高齢化に伴う社会保障費の増加、経済成長の低迷という「これからの危機」も見据えなければならない。
近年、政治は近視眼化してきたように思われる。その1つが野放図な財政の拡大だ。自民党総裁選挙の間も「2%の物価上昇目標の達成まで財政再建を凍結する」「GDP(国内総生産)ギャップを埋めるため、数十兆円規模の財政出動を行う」「消費増税については10年程度は考えていない」といった発言が候補者から相次いだ。
しかし、財政赤字が膨張を続ければ、財政危機のリスクも否めない。コロナ禍のような非常時に財政出動が求められるのは当然とはいえ、中長期的な観点から、財政規律を失ってはならない。
岸田新首相は総裁選で新自由主義的な経済政策からの転換を主張し、分配を重視する姿勢を打ち出した。確かにコロナ禍を通じて世界的にも資産・所得の格差が顕著になっているが、わが国では、既存のセーフティーネットが「助けるべき個人」を助けられていないという現実がある。公的年金や生活保護などの既存制度は、就労していないか、あるいは就労が困難な家計(高齢者など)が主な対象だ。
必要なのは、勤労世代などの「社会の支え手」を支えるセーフティーネットである。諸外国では給付付き税額控除という形で実施され、コロナ禍でも勤労世帯への支援手段として活用されている。格差是正と経済成長の好循環が実現しよう。
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