日本銀行が3カ月に1度公表する資金循環統計は、その時点の日本経済の縮図といわれ、最近の集計結果は、コロナ禍における資金の流れの顕著な変化を示している。
まず目につくのは、家計が保有する現預金の急増である。コロナ前の2019年末から今年6月末までの1年半で約65兆円も増えた。このところの毎年20兆円程度の増加ペースと比べても、大幅な増加といえる。その背景の1つは、家計の収入の減少以上に多額の給付金が政府から支払われたことだ。大企業の正社員や年金生活者にまで一律10万円が支給された特別定額給付金がその代表である。
こうして家計の可処分所得は増えても、緊急事態宣言などが繰り返される中、感染リスクを伴うサービス消費などは強く制約された。現預金保有の急増は、十分に消費ができなかった結果でもある。
しかし、今月初頭、全国一斉に緊急事態宣言は解除された。今後は、外食や観光などを中心に個人消費の回復が期待される。そのときには、これまでに貯まってきた多額の余剰資金がリベンジ消費の起爆剤となるはずである。
一方、企業(非金融法人)では借り入れと現預金保有が両建てで大きく膨らんだ点が特徴である。上記と同じ期間に借り入れは50兆円弱、現預金は50兆円強増加した。このうち借り入れについては、昨年春の混乱時には大企業も増やしたが、やはり飲食・宿泊業などが政策的支援の下で拡大させた影響が大きい。信用保証付きの借り入れはこの間、20兆円以上増えた。
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