ソニー元社員で電機業界の経営戦略に詳しい経営学者、長内厚氏に、ソニーの今後の展望を聞いた。
──ソニーは複合企業であり続けるべきでしょうか。
パナソニックや東芝と異なり、ソニーは必需品をほとんど造っていない。生活に潤いを与えるビジネスが中心だ。それだけに商品の当たり外れが大きく、1つの商品や事業が全社収益の大半を決める仕組みだと、経営の不確実性が高まる。金融、半導体、ゲームなどを併せ持つ複合企業だからこそ、安定的な業績が出せる。事業間でシナジーがあればベターだが、シナジーがなくても複数の収益源を持っていることに意味がある。
これまでのソニーは、「エレキが本業」という自己暗示にかかっていて、エンターテインメントや金融の事業は傍流という位置づけだった。それが、傍流事業の経営経験がある平井一夫前社長、吉田憲一郎社長、十時裕樹CFO(最高財務責任者)の力によって変わってきた。リスクを抑えつつ持続的に運営していく解が、ようやく導き出された形だ。
──吉田社長に対する評価は。
非常にクレバーで、言動が首尾一貫している。経営学者である私には、吉田社長のやりたいことがよく理解できる。しかし、分析を仕事としていない社員にどこまで通じているのか。「人に近づく」という経営方針も、普通の人ではなかなか腑に落ちないだろう。ロジカルであることは吉田社長の強みではあるが、最大の弱みにもなる「両刃の剣」だ。
経営戦略を打ち出す際、必要最低限の情報しか出さないというのも課題の1つだ。ステークホルダーの中には物足りなさを感じている人もいる。十時CFOも吉田社長と似た性質だ。アドバルーンを揚げてもっとわかりやすく伝える相棒がいるとよいのだが……。
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