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『喰うか喰われるか 私の山口組体験』 山口組を50年間見続けた男 「遊侠の徒」へのまなざし

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喰うか喰われるか 私の山口組体験(溝口 敦 著/講談社/1980円/317ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
[Profile] みぞぐち・あつし 1942年東京都生まれ。ノンフィクション作家。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒業。出版社勤務を経て、フリーに。山口組ドキュメントシリーズなど著書多数。『食肉の帝王』で第25回講談社ノンフィクション賞を受賞した。

ノンフィクション作家の溝口敦といえば、暴力団(ヤクザ)関連を中心に多くの著作を持つ、この分野では有名な書き手だ。『五代目山口組』の出版をめぐるトラブルから山口組関係者に背中を刺されるなど、危険な目にもあってきた。山口組を50年間ウォッチし続けてきた男なのだからさぞ任侠の世界に興味があったのだろうと思いきや、学生時代はヤクザにまったく関心がなかったという。

就職し、『週刊アサヒ芸能』記者として山口組の取材に取り組んだのが初めてのヤクザとの接触だったという。もっとも、このときはとくになんの感慨もなく終わったらしい。

その後、徳間書店で月刊誌『TOWN』の創刊メンバーとなった溝口は、〈日本一山口組の政治と犯罪〉というドキュメンタリー企画に編集部員として参加する。これが転機になった。徳間書店を退社した後、これを基にした『血と抗争』を著し出版する。

以降、山口組と一和会の間で起こった「山一抗争」に始まり、五代目・渡辺芳則の襲名、五代目若頭にして宅見組組長だった宅見勝による「傀儡(かいらい)政治」とそれに反発した組員による暗殺事件、弘道会・司忍のクーデターによる六代目襲名と山口組分裂などの事件をつねに間近で取材してきたのである。

本書には、各事件の際に山口組幹部が何を考え発言し、どう動いたかがつぶさに記されている。まさに山口組の歴史書といっていいだろう。

著者が執筆にあたって交流を持った人物についての記述もある。山一抗争で暗殺された竹中正久の伝記を書く際、実弟の竹中組組長・竹中武に協力を仰いだ。すると出版を快諾するだけでなく、兄の「エエことも、悪いことも」書いてほしいと言われた。兄が喧嘩(けんか)で「ゴテゴテにやられた」話などを、明け透けに語ったというのだ。道理をわきまえ、地頭が良く侠気のある人物で、著者との信頼関係は竹中が亡くなるまで続いたようだ。

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