「頼んでもいないのに、いつも優しげに『教えてあげようか』『従業員向けに講座を開いてあげてもいいよ』とやってくる。業界内の付き合いがあるから断れなくて、困っている」
言葉を選びながら悩みを明かすのは東京都内の運送会社社長だ。悩みの種は、有名酒造メーカーの物流子会社の社長を務めた男が「経営コンサルタント」という肩書で、半ば強引に「経営指南」を持ちかけてくることだ。
聴講費として1人当たり1講座5万円を要求されるため、従業員10人を出席させただけで50万円になる。ほとんどの講座は1回では終わらないため、一度依頼してしまうと一気に数百万円の支出となってしまうのだ。
「講座の中身が有益ならばまだいいが、『社長の心得』とか『運とツキを招く方法』だとか、ほとんど“上から目線”の精神論。社長だったというだけで経営コンサルを名乗っているが、有名企業の子会社だし。正直、迷惑千万だ」と社長は吐露する。
コンサルという肩書は時に便利だ。それだけで一定の見識がある人と見なされ、相手の上段に立って「指南」することができる。だが、それだけに怪しげな「自称コンサル」も多い。
3月下旬、政府系金融機関の審査担当者は突如現れた「事業再生コンサル」を名乗る男に面食らった。昨年来、新型コロナ融資を通じて支援してきた事業会社の「社長代理」だと言うが、やぶから棒に「返済スケジュールを見直してもらう」と迫ってきたのだ。
会社の財務状況を示す資料をいくつも示してきたが、その数字が正しいのか確かめるすべもない。そもそも、社長本人の真意さえわからない。
「コンサルを名乗っているが、いったい何者なんだ。せっかくコロナ融資で支援してきたのに、あんな連中の報酬に流れているなんて」と審査担当者は憤る。結局、素性はわからぬままだが、担当者は「整理屋の類いではないだろうか」と危惧している。
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