[Profile] てづか・じゅんこ 1983年大阪生まれ。(株)WaCreation代表取締役社長。神戸大学卒業後、(株)リクルートに入社し、営業・人事・企画を経験。第二子の育休中に起業。2017年6月から流山市子ども・子育て会議委員、19年4月から千葉大学非常勤講師。
千葉県流山市には、全国の自治体でも珍しい「マーケティング課」がある。「都心から一番近い森のまち」「母になるなら、流山市。」など、子育て世代に刺さるプロモーションを展開し、人口増加率は千葉県内で6年連続1位をキープしている。
本書の著者も結婚を機に流山市に移り住んだ一人だ。移住してしばらくはビジネスパーソンとして忙しい毎日を送っていたが、第一子の出産後育児休業に入ったのをきっかけに、地域が抱える課題にも関心を持つようになった。そしてある日、ふと妄想を抱く。その妄想とは、「流山市を株式会社に見立てた時、もしわたしが人事部長だったら?」というものだった。
地域に目を向けてみると、著者の周りには育休中の時間の使い方に悩む母親たちがいた。地域には仕事で培ったスキルをすぐに活かせるような仕事もない。しかも日中のまちにはさまざまな人がいた。
育休中の人だけでなく、定年退職した人や障がいのある人もいる。そんな人たちが、もし自分の“好き”なことや“得意”なことをもとに楽しく活動できたら、いったいどんな変化が起きるだろうか。「まちの人事部長」として、どんな人材育成や人材配置をしたら、まちの課題は解決するだろうか……。
気づけばカフェでひたすらアイデアをノートに書き出していた。この妄想はやがてまちそのものを大きく変えていく。本書に綴られているのは、そのリアルストーリーである。
著者の姿勢はどこまでもポジティブだ。まちに足りないものがあれば、自分たちで創ればいい。子育て中の暮らしの理想形は、地域活動が仕事にもなること。ならば、自分の能力を発揮して必要なお金を稼ぐことができ、そこで得た経験や知識を、子どもたちや地域の人々にも還元できる仕組みがあればいい──。驚いたことに、著者は本当にその理想を実現してしまう。
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