製薬会社の研究部門にも、MRと同様にリストラの不安はある。新薬の開発では、どの疾患をターゲットにするか、どんな作用メカニズムの薬を作るかで、さまざまな選択肢がある。会社の経営環境やライバル会社の動向によっても戦略は変わる。
2000年代に入り、医薬品業界では創薬研究の主戦場が、化学合成で作る低分子化合物の薬から、生物・細胞の働きを利用して作るバイオ医薬品に移り変わってきた。
中堅製薬会社で低分子化合物の創薬研究をしてきたAさん(30代前半)は今年4月、国立大学が出資するバイオベンチャーに転職した。勤めていた企業で研究方針が変わり、Aさんが従事していた低分子創薬への投資は大幅に縮小されることになったからだ。
Aさんは転職時のことをこう話す。「大手は投資する領域を抗体医薬に絞っているため、低分子創薬の求人は本当に少なく苦労した。同じ時期に転職活動をしていた、同じ研究領域の知り合いとは、応募先がほぼ丸かぶりだった」。
現在、バイオ医薬品の中でも大手がとくに研究開発への投資に力を入れているのは、抗体医薬と呼ばれる領域だ。一方で、バイオベンチャーを中心に、抗体医薬の次の主流になることを狙った創薬技術の研究も進んでいる。核酸医薬や中分子医薬、ペプチド医薬と呼ばれるタイプだ。
次世代型の医薬品では、低分子のような化学合成のノウハウを生かす余地がある。そのためAさんの転職先のような、こうした研究領域のベンチャーでは、「大手で低分子の研究が隆盛だった時期に入社した40代から50代の低分子の研究者が、ここ数年の早期退職で転職してきているケースをよく見る」(Aさん)という。
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