11月6日はエーザイにとって特別な日になった。
米食品医薬品局(FDA)に新薬承認などで意見勧告する諮問委員会が、エーザイと米バイオジェンが共同開発するアルツハイマー病(AD)治療薬「アデュカヌマブ」の有効性に「ノー」を突きつけたのだ。FDAは諮問委員会の勧告を守る義務はないが、従うことが大半だ。とりわけ今回は委員のほとんどが否定的な立場だ。2021年3月に予定されるFDAの決定で、承認を得ることはかなり難しくなった。
実はFDAは事前の公表文書では承認に極めて好意的な姿勢を示していたため、エーザイ、バイオジェンの日米両社の株価は急騰していた。しかしこの結論が出た途端、株価は急落した。

半端でない入れ込み
エーザイはこれまでAD治療薬に経営資源を集中的に投入してきた。それだけにFDAの承認がなければ経営に大きな打撃となる。
最近でも内藤晴夫CEOが日経産業新聞のインタビューで「認知症薬とともに生きて死ぬ」と語るほど、エーザイはAD治療薬には入れ込んできた。
アデュカヌマブはもともとバイオジェンが開発してきた。これにAD治療薬で実績のあるエーザイが自社開発の候補品「BAN2401」などを加える形で共同開発を進めてきた。米国のメルク、イーライリリー、ファイザーやスイスのロシュなど、世界の有力製薬会社が開発に失敗する中で、現在はエーザイとバイオジェンが世界のトップを走る。
アデュカヌマブの治験は複雑な経過をたどってきた。いったんは有効性がないと判断され、治験が中止になったが、ほぼ半年後に追加解析で復活。第3相段階の、同じ試験デザインの2つの試験で、一見すると相反するデータが出たため専門家の間で激しい議論があった。最終的には開発中の2社が2つの試験を総合的に見れば有効性があると判断し、それをFDAが受け入れて審査がスタートするという異例の展開となった。
この記事は有料会員限定です
残り 529文字
