『歴史の終わり』などの著書で知られる政治思想家フランシス・フクヤマが主宰していた米国の論壇誌『アメリカン・インタレスト』が、この10月で休刊となった。財政上の都合という。同誌は2005年に創刊され、主に国際問題を扱い、創刊後あっという間に高級誌として米論壇の一角を占めるようになった。休刊は残念だが、1つの時代が終わったということかもしれない。
同誌が発刊されたのは、01年の9.11テロの後、米国が怪しげな根拠で性急にイラク戦争に突入し世界からの信頼を失ったことがきっかけだった。米国に再び確固たる外交思想を打ち立てようと、フクヤマがイニシアチブを取った。
創刊後間もなく、世界の「反米意識」を探る特集を組み、各国の筆者に「なぜ米国は嫌われるのか」について歴史的・社会的分析を依頼するなど、国外の視点を広く取り込む編集方針が特徴だった。中国やアラブ圏なども含め各国から論客を編集委員に迎え、当時「一極主義」とか「単独主義」といわれた米国に、さまざまな異なる見方を伝えようとした。
大先輩の外交専門誌『フォーリン・アフェアーズ』は前世紀の第1次世界大戦後に、19世紀的な秘密外交の末に起きた未曾有の破壊と殺戮(さつりく)を反省し、広く公開の場で外交・国際問題を議論しようと誕生した。その先例に倣うようなところもあった。そのせいか、『フォーリン・アフェアーズ』は『アメリカン・インタレスト』の広告を積極的に載せ、購読申し込みはがきも折り込んで、ライバルの成長を助けた。いかにも米国らしいフェアプレー精神だと感心した。
最近では、トランプ大統領の対中国強硬路線を歓迎する匿名の日本政府当局者の論考と中山俊宏慶応大教授の反論を掲載して、『アメリカン・インタレスト』誌への日本での関心もにわかに高まっただけに、休刊は惜しまれる。
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