司法界のリベラル派として有名だったギンズバーグ連邦最高裁判事が亡くなり、その後任人事が政治上の大きな論点になってきた。トランプ大統領が指名した保守派のバレット氏が就任すれば、最高裁の保守化が進むからだ。
ギンズバーグ氏存命中の最高裁は、保守派5人、リベラル派4人の判事構成だった。バレット氏が後任の判事になると、保守派6人、リベラル派3人で、保守派判事の優勢が明確になる。
民主党の憤りは強い。民主党のリーヒー上院議員は、バレット氏の承認を審議する公聴会で、「(トランプ氏と共和党は)司法の独立を奪い、極右と共和党の手先にするつもりだ」と厳しく批判した。
民主党が憤るのは共和党の手法が原因だ。上院多数党の共和党は、2016年に空席となった最高裁判事の後任を民主党のオバマ大統領が指名したときは、「大統領選で世論に問うべきだ」として議会審議を拒んだ。ところが同じ大統領選挙の年である今回は、投票日前の承認を急いでいる。
共和党は着々と司法の保守化を進めてきた。最高裁に限らず、連邦裁の下級審でもオバマ氏の指名人事を審議せず、トランプ政権になってから保守派の判事を承認する戦略を貫いてきた。
共和党が判事にこだわるのは、米社会では司法の存在感が大きいからだ。最高裁が保守化すれば、妊娠中絶を認めた判決が覆されるかもしれない。大統領選挙の結果が裁判で争われた際に、「最高裁がトランプ氏に有利な判決を下すのでは」という観測も絶えない。
司法が経済政策に与える影響も重要だ。仮に民主党のバイデン氏に政権が交代した場合には、最高裁が公約実現の障壁になる。バイデン氏による改革を共和党が裁判に持ち込み、司法による阻止を図る可能性があるからだ。
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